ヒ素入りケーキ事件容疑者=夫と息子からも検出で離婚へ

デイゼ・モウラ・ドス・アンジョス容疑者(左)と夫ディエゴさん(右)(21日付G1サイトの記事の一部)
デイゼ・モウラ・ドス・アンジョス容疑者(左)と夫ディエゴさん(右)(21日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】姑との長年の不和と金銭的トラブルが引き金となり、嫁がクリスマスケーキにヒ素を盛って一家毒殺を企て、それを食べた家族3人が死亡した昨年末の事件に関連して、嫁デイゼ・モウラ・ドス・アンジョス容疑者の夫と息子の尿からもヒ素が検出されたことが新たにわかった。2人は問題のケーキを口にしておらず、警察は彼らがヒ素を摂取した時期や経緯について捜査を進めていると、20日付CNNブラジル(1)(2)が報じた。
 事件は昨年12月23日、リオ・グランデ・ド・スル州トーレスで発生。姑ゼリさんがクリスマスパーティー用に作ったケーキには、デイゼ容疑者が密かにヒ素を混入した小麦粉が使われ、それを食べた親戚の女性3人が死亡、さらに、ゼリさんを含む他の2人が重体となった。
 リオ・グランデ・ド・スル州警察の捜査によると、1月14日に実施された検査で、デイゼ容疑者の夫ディエゴさんと9歳の息子からもヒ素の摂取が確認された。姑ゼリさんについても同様の検査が行われ、体内からヒ素が検出された。
 ディエゴさんは市警に対し、事件のしばらく前に同容疑者が用意したマンゴージュースを飲んだ直後、「激しい吐き気」に見舞われ、嘔吐をしたことを証言。同じジュースを飲んだ息子も複数回嘔吐したという。(3)
 警察は、ディエゴさんと息子がヒ素を摂取した時期が、舅(ゼリさんの夫)であるパウロさんの死亡前か後かを特定するため、捜査を続けている。パウロさんは昨年9月に死亡しており、この事件を契機に墓から遺体を掘り起こして再検査を行なった結果、ヒ素が検出されたことでデイゼ容疑者の関与が疑われている。
 この検査結果を受け、夫ディエゴさんはデイゼ容疑者との離婚を正式に申し立てた。2人の夫婦関係は長年悪化しており、過去にも一度別れたことがある。今回自身の家族が巻き込まれた事件を受け、再度離婚を決意した。現在、法的支援を受けて離婚手続きを進めている。(4)
 デイゼ容疑者は、家族間で長年の不和が続いており、特にゼリさんが家族内で強い発言権や経済力を持っていたため、「義母の支配」に不満を募らせ、精神的に追い詰められていた可能性も考えられる。
 容疑者の携帯電話の記録から、犯罪前にインターネットでヒ素について検索していたことが確認され、購入履歴もあった。犯行後には家族を操作して自身の関与を隠蔽しようとしたことも明らかになっている。
 少なくとも4人の殺人容疑、3人が嘔吐や入院するなどの殺人未遂容疑がかけられており、シリアルキラー(連続殺人事件)の様相を呈してきており、捜査当局は、他にも彼女の周囲で発生した過去の毒物中毒による死亡事案についても関連性を精査しているという。

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