ブラジルのロライマ州パカライマ国境を、ベネズエラ側が何の通告もなく一方的に閉鎖して軍事演習を行っていることを受けて、マウロ・ヴィエイラ外相は22日、ベネズエラのイバン・ヒル外相と電話会談を行った。23日付CNNブラジル(1)が報じた。
隣国間の慣習では、国境付近で行われるいかなる活動についても、外交的な連絡が行われるのが通例だが、今回の演習はブラジル政府に事前通知することなく行われたという。
CNNの取材によれば、ヴィエイラ外相がヒル外相に連絡を取ったところ、ヒル外相は演習の背景について調査を行うことを約束したが、現時点ではまだ返答はない。ブラジル外務省はベネズエラ大使館と接触し、直接の説明を求めたが、ブラジル外交筋としては「重要」とされる事実関係が完全に解明されるまで、この件に関してコメントを避けている。
外務省や国防省の関係者らは23日、声明を発表するかどうかについて議論したが、最終的には何も発表されなかった。監視カメラが捉えた映像では、ベネズエラ特殊部隊の車両が両国の国境付近でUターンする様子が映し出されており、同地域で活動する軍関係者らは、この動き自体は問題ではないと指摘。
ただしこの真の問題は、外交的な通知が一切なかったことにあり、これは両国間の信頼不足を示す兆候と見なされ、関係の硬化を象徴するものとされている。しかし、陸軍指導部は軍事的な観点から、この事件を「取るに足りないもの」と過小評価している。訓練に参加した部隊の規模が小さいことがその理由として挙げられている。
軍関係者の間では、この出来事はニコラス・マドゥーロ大統領の「挑発」であり、国内向けの「虚勢」に過ぎないと考えられている。ベネズエラのジョゼ・ムシオ・モンテイロ国防相はCNNに対して、両国の国境での状況は「完全に」制御されていると述べ、問題はないと強調した。
マドゥーロ大統領は同国の軍隊が「いかなる不意打ち」にも即座に反応できるよう訓練する必要があり、領土に侵入しようとする集団の「歯を折る」必要があると述べた。この発言は、ベネズエラ全土で実施されている年次の軍事演習「エスクード・ボリバリアーノ」の演説の中でなされたもので、この演習はブラジルとの国境でも行われていた。
ブラジルは、10日に3期目の大統領に就任したマドゥーロ氏の選挙勝利を認めておらず、ルーラ政権は選挙結果の公開を求めているが、それは未だに提出されていない。歴史的な同盟国にもかかわらず、マドゥーロ氏はブラジル外交を批判しており、それ以来、両国間の関係は冷え込んでいる。