中国人主導のマフィア摘発=セックスドラッグを製造販売

ギジェルモ・ファビアン・マルティネス・オルティス容疑者(Divulgação/Denarc)
ギジェルモ・ファビアン・マルティネス・オルティス容疑者(Divulgação/Denarc)

 中国人主導の国際犯罪組織が、サンパウロ市アクリマソン地区のマンションの一室に拠点を構え、セックスドラッグとも呼ばれる強力な覚醒剤「メタンフェタミン」を密造販売していたことが明らかになった。組織は中国人、ナイジェリア人、ブラジル人など多国籍メンバーで構成され、メキシコ人の化学エンジニア、ギジェルモ・ファビアン・マルティネス・オルティス容疑者(40歳)が伝授した技術を使って製造した覚醒剤を、売春婦などに安価に売り捌いていた。26日放送のグローボ局の番組「ファンタスチコ」が組織の詳細を独占的に報じた。(1)
 警察による捜査は、ある中国籍男性からの告発で約6カ月前に始まった。この男性は、衣料品工場勤務を約束されてブラジルに入国したが、実際には犯罪組織の指示で、アパートの一室でメタンフェタミン製造に従事させられていた。
 警察によれば、同アパートは中国人3人が賃貸し、わずか3カ月の間に2千人以上がこの場所を訪れ、取引や製造に関与していたという。
 犯罪組織の中心には、メキシコ国営石油企業「ペメックス」の元化学エンジニアであるオルティス容疑者がいた。(2)彼はこれまでの経験を活かし、メタンフェタミン製造を効率化するための技術的指導を行った。これまで輸入に頼っていた同薬物の製造をブラジル内で開始し、薬物の品質向上とコスト削減の実現にも貢献したとされる。
 オルティス容疑者の他に、サンパウロ市の中国人コミュニティで影響力を持つ実業家で、犯罪組織の首領の一人として特定されたマルコス・ゼン容疑者、薬物の購入と販売を担当していたピカン・ドン容疑者が逮捕された。
 メタンフェタミンは使用者に強い覚醒作用をもたらし、その副作用として依存症や精神的な問題を引き起こすことが知られている。この薬物は中枢神経系を刺激し、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めると警告されている。一般的には「セックスドラッグ」として知られ、製造された薬物は、主に売春業界で流通しており、売春婦たちは自身の利用客に提供し、利益を得ていたという。
 同薬物は見た目から「クリスタル」とも呼ばれ、粉末、錠剤としても取引される。捜査によると、この薬物はメキシコの密輸人によって液体の状態でブラジルに持ち込まれ、サンパウロ市で結晶化させた後、中国やナイジェリアのマフィアに供給されていたという。(3)この犯罪組織は分量や成分が中国語で詳細に記された手書きのレシピや、化学的なプロセスを簡単な図で示したものを使用していた。
 メタンフェタミンの密造販売に関わったとして、現在25人以上が逮捕され、起訴されている。ドン容疑者は、薬物は自己使用のために購入したと主張し、密売を否定しているが、裁判では有罪判決を受け、9年の刑が言い渡された。
 オルティス容疑者の弁護側は、彼は薬物製造に関与していないと否定しており、サンパウロ市ではDJとして働いていると主張している。ジェン容疑者の弁護人は、彼の無実を主張し、証拠となった車両は他者に貸し出されていたと述べている。

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