富裕層に優しく貧困層に厳しい=所得層別インフレ率に格差

ルーラ大統領(Foto: Paulo Pinto/Agência Brasil)
ルーラ大統領(Foto: Paulo Pinto/Agência Brasil)

 応用経済調査所(Ipea)が16日に発表した「所得階層別インフレ率レポート」によると、2024年のインフレ率は所得層ごとに異なり、富裕層には優しく、貧困層にはキツイ値上げ率だったと29日付ポデール360など(1)(2)が報じた。
 ブラジル全体の平均インフレ率は23年の4・62%から24年には4・83%に加速した。この状況は収入によって異なり、月収が2105・99レ(約5万5600円)以下の「最も低い」所得の世帯では、前年の3・27%から4・91%へと著しい上昇を示した。
 一方で、月収が2万1059・93レ(約55万6千円)以上の「最も高い」収入のインフレ率は、前年の6・22%から4・43%に減少し、20年以降で最低水準を記録した。
 同じ社会に生活していながら、所得によってインフレ率が異なるのは、所得層によって生活スタイル、何に消費をするかが違うためだ。生活必需品のインフレ率が高いほど、それは貧困層を直撃することになる。
 低所得層は主に食料品、電力、公共交通機関などの生活必需品を中心に消費するが、これらの価格は、経済の状況(例えば、原材料の価格変動、燃料価格の上昇、気候変動など)によって価格が急変しやすく、家計に直接的な影響を与える。
 一方、高所得層は生活必需品に加え、航空券、医療保険、高級車などの贅沢品にも多く消費し、これらの価格は、景気や供給の問題などの特定の経済状況下でしか大きく変動しないため、インフレ率は相対的に低い。
 食料・飲料部門は、24年に低所得層のインフレを2・29%ポイント(PP)押し上げた一方、高所得層では0・94PP増にとどまった。
 ルーラ大統領は、貧困層の支援を重視した予算編成を掲げ、国民の週末の楽しみであるシュラスコ(バーベキュー)で、ピカーニャ(牛肉のイチボ)やビールの価格を引き下げることを公約にして当選した。
 だが就任後から2年が経過した現在、期待通りの結果が得られていない。政府経費の支払いのために公共資金が投入され、経済活動が活発化したものの、それがインフレを引き起こし、結果的に富裕層にとってより有利な状況を生んだ。
 ルーラ政権は、経済の危機的状況と世論の圧力を受けて、食料品価格を引き下げるための措置を検討し始めた。フェルナンド・ハダジ財相は、財政に過度な負担をかけないよう、影響を最小限に抑える方策を追求していると述べた。
 一方、パウロ・テイシェイラ農業開発相は農業支援計画「プラノ・サフラ」補助金を増額する意向を示し、ルイ・コスタ官房長官は高騰が続くオレンジを別の「より安い」果物に置き換えることを国民に提案した。

最新記事