アルゼンチンが隣国と国境警備強化=「トランプの壁」模倣して

アルゼンチンのパトリシア・ブルリッチ治安相(アルゼンチン政府公式ポータルvia Wikimedia Commons)
アルゼンチンのパトリシア・ブルリッチ治安相(アルゼンチン政府公式ポータルvia Wikimedia Commons)

 28日付G1など(1)(2)によると、アルゼンチンのパトリシア・ブルリッチ治安相は同日、ブラジルとの国境における監視を強化する意向を示した。これは、ハビエル・ミレイ大統領がボリビアとの国境に壁を建設する計画を発表したことを受けたもので、米国がメキシコ国境に建設した〝トランプの壁〟を模倣した政策として、アルゼンチン国内外で物議を醸している中での対応だった。
 ブルリッチ氏は、「ボリビアに加え、他の国境地域にもこの政策を拡大する予定だ。現在、ブラジルと国境を接するミシオネス州において、歩行での越境が頻繁に発生する地域があり、そこで殺人事件や問題が発生している」と述べた。
 この発表の前日27日、アルゼンチン北部のサルタ州の官報は、ボリビアとの国境に全長200メートルのフェンスを建設するための入札を開始すると発表。この構想は、米国のトランプ政権が進めたメキシコ国境の壁建設に触発されたもので、違法越境の防止や密輸の抑制を目的としており、ミレイ政権と州行政が昨年12月に発表した「グエメス計画」の一環だという。
 同州アグアス・ブランカス市の監査役であるアドリアン・シガラン氏は、フェンスの高さは2・5メートルで、上部に有刺鉄線を設置し、コンクリート支柱を備えた鋼鉄製で、両国を隔てるベルメホ川の手前、アルゼンチンの税関とバスターミナルの間に設置されると説明した。
 ベルメホ川は、アルゼンチン治安省が指摘する「麻薬のルート」に位置している。ボリビアのベルメホ市から安価な商品を購入するために越境するアルゼンチン人にも利用されており、違法商品の輸入がアルゼンチン国内の商業活動に悪影響を与えているという。
 だが、この計画にボリビア政府は「懸念」を示し、国境に関する問題は二国間対話の枠組みで解決すべきであり、「一方的な措置は隣国間の良好な関係や平和的共存に悪影響を与える可能性がある」と主張。外交ルートを通じてアルゼンチンに説明を求めるとした。
 これに対してブルリッチ氏は、「国土内では、我々は自分たちの望むことを行う。自分たちの家、私たちの祖国に壁を作っているだけだ」と反論した。

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