サンパウロ州内陸部リベイロン・プレット市で26日夜、人気女性ファンキ歌手アニッタのライブ中に、32歳の男性がレイプ被害にあった。彼は警察の調べに対し、薬物を盛られた後に記憶を無くし、翌日、肛門に鈍痛を感じて目を覚まし、警察署に被害届を提出したという。1月30日付メトロポレス(1)(2)が報じた。
このライブは同市ジャルジン・パウリスタ地区にあるコメルシアル・スタジアムで、大雨の中開催された。被害者男性の身元は公表されていないが、事件当時は友人グループとともにライブに参加していたとされる。
警察は、法医学研究所(IML)での鑑定を依頼し、事件関係者の特定と事実解明に向けた捜査を続けているが、事件の性質上、詳細な情報は公表されていない。
被害はこの1件にとどまらず、イベント終了後に複数の観客が、デートレイプドラッグ(意識を喪失させる薬物)や盗難などの類似の被害をSNSで訴えた。
友人らとともに参加したあるカップルは、オープンバーエリアで飲んでいた時に、飲料に薬物を混入された可能性があるという。彼らはアニッタが登場した20時頃から記憶が途切れ、目が覚めたのはライブ終了後だった。服が汚れ、手に擦り傷があったことから、転倒したと推測されている。二人は携帯電話、書類、カード、お金が入った財布、眼鏡、携帯用バッテリーを失っていた。
このカップルは午前1時頃、待ち合わせ場所で友人らと会うことができた。友人らは、「二人の吐しゃ物は非常に強い黄色だった上、別の人達も飲み物と同じ赤い色の吐しゃ物を吐いた」ことから、二人は薬物を盛られたのではないかと疑った。カップルはそのまま帰宅したが、翌朝、目覚めてからも吐き気や脱力感を感じたという。
ライブに参加したカイオ・ピエーレさんも同様に、携帯電話と財布を盗まれたと報告している。彼は、友人との連絡手段を失い、同じく窃盗被害に遭った別の観客とともに、徒歩で1時間半かけてバスターミナルに向かい、一晩を過ごしたという。
カイオさんは、入場時の持ち物検査が非常に甘く、警備体制もずさんであったと指摘。紛失した所持品の回収に関する情報が主催者側から一切提供されていないことも批判の対象となっている。
彼によると、少なくとも100人以上が盗難に遭い、40人以上が警察に届け出を行ったとし、イベント運営会社の「ファロ・エベントス」に対して集団訴訟を起こす意向を示している。メトロポレスは運営会社に説明を求めたが、記事掲載までに回答は得られなかった。
一方、アニッタの運営チームは声明を発表し、「報道されたすべての事件は警察によって慎重に調査されており、運営会社も全面的に協力している」と述べた。「ツアー開始以来、すべての公演において、心理カウンセラーや弁護士が待機するサポート・ルームを設置し、イベント中のトラブルに対応している」と説明。カスタマーサポート窓口を通じ、被害の報告や問い合わせを受け付ける意向を示した。