トランプ米大統領は1月30日、メキシコとカナダからの輸入品に25%、さらに中国製品には10%の関税を課すと発表したことで波紋を呼ぶ一方、BRICS諸国にも「もしドルの代替通貨を創設すれば、100%の関税を課す」と再度脅しをかけたと1月31日付のオ・グローボなど(1)(2)(3)が報じた。
この発言はトランプ氏がSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿したもので、BRICS諸国に対して新通貨創設のみならず、そのような動きに賛同する国々にも関税を課す意向を示した。トランプ氏は大統領就任前の昨年12月に、すでにこの方針を表明していた。
これに対し、ルーラ大統領は、米国がブラジル製品に関税を課す場合、ブラジルもそれに対して「相互主義」を適用する意向を表明。「非常に単純だ。もし米国がブラジル製品に関税を課すなら、ブラジル側も同様に対応することになる。躊躇はない」と述べ、トランプ氏の脅迫に対して真っ向から立ち向かう意向を示した。
一方、ロシア政府はBRICS諸国が共通通貨を創設する議論をしているとの主張を否定した。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、「BRICSは共通通貨創設について議論していないし、今後もその予定はない。BRICSが議論しているのは、新たな投資プラットフォームの創設であり、これにより第三国への投資や相互投資を可能とする目的がある」と述べた。
ロシア政府の慎重な姿勢は、プーチン大統領が昨年のBRICS首脳会議で表明したもので、当時彼はBRICS通貨のアイデアが「成熟していない」と述べていた。
だが、ブラジル政府はBRICS通貨の新設案を支持しており、ブラジルがBRICS議長国を務める2025年には、この問題が重要な議題となることが予想されている。
トランプ大統領の関税政策は、米国内での経済的影響に加え、国際的な対立を引き起こす可能性が高い。特に、BRICS諸国は国際社会における経済的影響力を強めており、ドル依存を減らす動きも見られる中、米国の一方的な関税政策は対立を激化させる恐れがある。
トランプ大統領は関税を通じて米国の利益を守ろうとする姿勢を鮮明にしているが、他国との貿易戦争は明らかに自国のインフレ要因となり、どの程度それが跳ね返ってくるかは、今後の国際政治において大きな注目点となるだろうと報じられた。