全国の小中高校において、授業中はもちろん、休憩時間中の携帯電話やポータブル電子機器の使用が全面的に禁止される新法令が1月13日から施行された。新学期の開始にあたり、比較的スムーズに規制が導入され、好意的に受け入れられている学校もある一方で、ルールの周知が不十分であったことから混乱を招いているケースも見受けられ、地域や学校によって様々な状況が報告されている。1月28日付コレイオ・ブラジリエンセなど(1)(2)が報じた。
新学期を迎え、生徒の多くはこの措置に前向きな感想を抱いた。首都ブラジリアの私立学校に通うラファエルさん(15歳)は「もっと問題が起こると思っていたが、クラスメートは落ち着いていた」と述べ、携帯電話が使えないことで学習環境が改善されたと報告した。
一方で、母親のエリカさんのように「教育とテクノロジーを融合させるため、携帯を活用していた学校もあり、一律の禁止には疑問がある」との意見も。
ブラジリア私立教育機関組合(Sinepe―DF)のエリザ・ドゥモン組合長は「私立公立を問わず、全学校がこの新法に適応しなければならない。生徒、保護者、教員の協力が不可欠」と指摘した。
他方、サンパウロ市の公立学校では、規則の事前周知が不足していたため、混乱を招くケースがあったという。同市南部カポン・レドンド地区の公立校に通うナイアラさん(16歳)は、SNSで見た携帯電話使用禁止撤廃のフェイク動画を鵜呑みにし、休憩時間中に携帯電話を使っていたところ、教師から叱責され「次回は保護者を呼ぶ」と警告された。彼女によると、この件について学校から事前に通知はなく、報道を通じて初めて知ったという。
生徒の間では休憩時間の使用禁止に対する反発も見られた。マノエラさん(11歳)は「授業中の禁止は理解できるが、休憩時間まで使えないのは理不尽」と指摘。授業中の集中力向上には賛成だが、休憩時間の制限は不要といった意見も見られた。
情報不足の中、保護者の間では登下校時の連絡手段が失われることへの懸念が広がっている。だが携帯電話を学校への持ち込むこと自体は許可され、授業後の使用は可能だ。
サンパウロ州教育局のレナト・フェデル長官は「携帯電話の保管方法は各学校に委ねる」とし、「各学校にはそれぞれの特徴があり、学校が適切な管理を決定することとなる」と説明。サンパウロ州議会では「生徒が触れられない場所に保管する」との決議がなされており、今後の具体的な運用方法が注目される。