サンタクルス解雇問題=病院前で「労働者の尊厳を!」=元従業員と組合が抗議行動=「日系社会の印象まで悪くなった」

 サンタクルス日本病院の元従業員からの訴えを受け、サンパウロ州医療労働組合(SinSaúdeSP、ジェファーソン・カプローニ会長)が元従業員らに呼びかけて7日(金)15時から、同病院前でプラカードや垂れ幕を手に抗議行動を行い、約50人が参加し、「すぐに支払いを!」などと気勢を上げた。

病院の前で演説する会長(左)と抗議行動をする皆さん

 正門前に集まっていた元従業員の一人、約25年間勤続でこの1月20日に解雇されたというカーチャさん(集中治療室看護技術者)は、「この病院で働くのはとても好きだった。パンデミックの時も20時間連続で働いても、苦ではなかった。遅刻も無断欠勤もまったくなかった。でも突然解雇されて、12月分の給与、13カ月給の一部、退職金もまだもらっていない。気に入った職場だっただけに、本当に残念」と語った。
 2015年から勤務してきたミレーネさん(看護技術者)も、「私はこの病院で働いていることに胸を張ってきた。でも突然解雇されて退職金すら未払いの今は、日本人や日系社会に対する印象まで悪くなった」と憤る。
 カプローニ会長はマイクを握り、「20年以上も献身的に働いてきた〝医療業界の英雄〟たちが、感謝の言葉もなく、このような形で解雇されるのはおかしい」「病院経営陣はクーラーの効いた部屋から降りて来て、僕たちと話し合うべきだ。給与や13カ月給、退職金まで未払いで、FGTSも数年間払っていないなんて、こんな恥ずべき解雇の仕方は不正と一緒だ!」と演説し、沿道に集まった抗議者らと「労働者の尊厳を!」と声を合わせて繰り返し叫んだ。

「労働者の尊厳を!」と訴える元従業員たち

 労働運動家のクラウジオ・サントス氏も「サンパウロ日伯援護協会に4千万レアル返す金があるなら、最高裁判決にある通り、まず最優先されるのは労働者の権利を支払うべきだ。経営幹部が降りてくるまで、ここで門に鎖で体を縛り付けてもいい」と叫んだ。
 その後、カプローニ会長は数人の交渉代表団を選び、病院内に入って経営幹部と面会すると語り、人員選びをした。
 同病院では1月から少なくとも120人ほどが解雇されたが、その中には13カ月給与、退職金、12月や1月分の給与の不払いがあり、人によっては3年間にわたる勤続保証基金(FGTS)の未振り込みも見られるという。
 5日、元職員グループからの訴えをカプローニ会長らが受けつけ、同労働組合は解雇の一時停止と新たな解雇を防ぐために民事訴訟を提起し、今回の病院前での抗議活動を呼びかけた。同組合としては解雇されたのは200人と見ている。

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