JICA=移民史料館で開会式1日=旧大正小学校開校110周年記念特別展=宮崎所長「将来を担う人材の育成を」

最後に主催者と表彰者全員で記念撮影

 JICAブラジル事務所(宮崎明博所長)は1日、JICAとサンパウロ大学共催の「旧大正小学校開校110周年記念特別展」の開会式を、ブラジル日本移民史料館で開催した。
 「大正小学校」はブラジル政府に最初に公認された日系教育機関で、1915年に聖市内で開校し、現在は閉校したが今年で開校から110周年となる。これをブラジルにおける日本語教育の起点のシンボルとし、JICAブラジル事務所、ブラジル日本語センター、サンパウロ大学、国際交流基金サンパウロ日本文化センターは年間を通じて日本語関連のイベントの実施に向けて、実行委員会を立ち上げた。
 特別展と一連のイベント開始を祝う狙いで行われた開会式では、JICAからブラジル全土の15の日本語モデル校へ在外拠点長賞が贈られ、また国際交流基金からはサンパウロ大学やブラジリア連邦大学、アマゾニア連邦大学などに授与された。
 両機関所長より顕彰団体へ、日本語教育の普及に貢献したことへの感謝の言葉が述べられ、中でも宮崎所長は「日本語教育関係者の皆様には是非、新しいニーズや状況を汲み取っていただきつつ、次世代に続く日本語と日本文化の発信地としての日本語学校の運営を引き続き模索していただくと共に、将来を担う人材の育成にぜひ力を入れていただけますようお願いしたい」と日本語学校と運営母体の地方文協が一丸となって取り組むことへの期待感を表し、「JICAは皆様と共に魅力的な日本語教育を日系社会並びにブラジル社会へ提供し、両国の友好関係の継続と発展に貢献したいと考えております」と挨拶を締めくくった。
 特別展では、大正小学校の51年間の歴史と、ブラジルにおける110年間の日本語教育史を振り返り、その意義と価値を改めて見直すとともに、激動の時代においてもなお言語や文化的価値を守り、伝え続けようと尽力した人々の姿を捉える。大正小学校の年表や戦前の卒業生・川村真倫子先生のインタビューのほか、戦前に使用されていた教科書やいす、110年の歴史をたどる年表などが展示されている。

特別展の様子

 学術監修を務めたモラレス松原礼子教授(サンパウロ大学)は「長い歴史の中で、何度も抹消されそうになった遺産言語である日本語が、今日まで継続できているのは、今までこの国の厳しいあらゆる情勢に戦い、勝ち抜いた人たちがいたおかげ」とした上で、「これまでの歩みを正当に評価し、これからを真摯に考える機会となること。日本語はあらゆる世代の日系人の言語アイデンティティにつながっている。言語はいったん消えると復活させるのは難しく、継続的な努力を惜しんではいけない」と語った。
 特別展の一般公開は2月2日から28日まで。月曜休館、水曜は入場料無料。今年は日伯国交樹立130周年、またJICA海外協力隊事業60周年でもあり、展示会場では来館者を対象に、毎週土日午前10時から午後17時まで、JICAボランティアによるワークショップも開催される。

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