マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(2)=サンパウロ 梅津久

“マイゾウ・メーノス” とは

 とてつもなく大きなブラジル、日本の23倍の大きさがあり、南北は4320km、東西4328kmの距離、日本でいうと、東京から赤道を挟んでインドネシアのシンガポールまで、また東京からタイのバンコックに行くほどの範囲の大きさになり、その広大な土地に日本の人口の約2倍の2億1105万人(2019年統計)が住んでいる。
 これだけの大きさの国の中に、“人種のルツボ”と言われるように、数多くの人種、民俗、国民が完全に調和、協調して生活しており、人種、宗教や階級による差別に関しては法律によって厳重に取り締まられており、トラブルはほぼ発生していない、そのため、習慣、風俗、文化、宗教の違いが非常に多く、とても日本では考えられないことが多い。
 このように、多くの人種、民俗、国民が入り交じって構成されている、ブラジルの思考、風習の根底となっているものは、なんであろうか。この疑問を常に念頭に置いて、ブラジル人の考え方、行動、習慣を見、また考えて来たことが数多くある。
 とにかくおおざっぱな考え方が主体であり、“Mais ou Menos ”の世界であること。ブラジル語で“マイゾウ・メーノス”と発音し、その意味は“プラス・か・マイナスどちらかだ”、俗に「まあー まあー」、「普通」、「どうでもよい」ということで、「おおざっぱ」な世界のことである。
 私は、ブラジルの生活様式、習慣さらには政治、経済活動の根底にこの“マイゾウ・メーノスの世界”の考え方が常に潜在しているように思えてならない。
追記
それぞれの小話には、記載した回想内容にあてはまる年代が参考まで記載されているところがあります。
1999年10月30日
(2014年12月15日 追記)

最新記事