マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(4)=サンパウロ 梅津久

 会社で新しい工場建屋の落成式を行った時、夕方に工場を止めて全従業員を集めて待っていたが、1時間以上の遅れでプログラムの終わっている時間が過ぎても招待者が来ない為、一般従業員は送迎バスで帰宅させ、バス通勤でないごく一部の従業員だけが残って政府関係の招待者を待ち式典となったこともある。それでいて「遅れて申し訳ありません」の言葉もなく、延々と何十分もの挨拶(政治演説)が続く。「もうやめてくれー」です。
 乗り物の時間にしても同じこと、汽車、バス、地下鉄いずれも時刻表というものがない、ただひたすらに待つだけである。1分も遅れずに発着する乗り物になれた日本人には、とても耐えられないことである。長距離のバス、飛行機は時間が決まっているが、これまた遅れるのが普通である。
 ブラジルに来て、まだ車を持たなかった時分、バスで出かけるのにバスの発着時間がわからないため、どんなに不安でバスを待ったことか、30分、1時間は普通に待ったものです、ひどい時は待ちきれず有り金叩いてタクシーに乗ったこともある。
 また、こんなこともあった、マナウスの飛行場でのこと、航空会社のカウンターでサンパウロに行く飛行機が、2時間遅れるとのこと、「しょうがないね」と搭乗手付きを終わって待合室で待っていると、「4時間遅れます」との連絡、良く聞くと、その飛行機は出発空港であるサンパウロをまだ飛び発っていないとのこと、なぜ始めから事情を説明しきちんと正確に伝えないのか。うんざりする中、航空会社の準備したバスに乗せられ、マナウス最上級の“5星”のトロピカル・ホテルで食事、休息して5時間遅れで出発した。一緒にいた日本からの旅行者の方は「一人だったら、言葉がわからず、どんなことになっていただろうか」と嘆きっぱなしでした。この飛行機便は日本に行く人が利用する便で、その中にはサンパウロで乗りえ日本に行く旅行者がいたはずですが、どうなったかはわからなかった、時間的には間に合わないほどの遅れでした。
 5月から7月頃になると、夜マナウスを発って、早朝サンパウロに着く飛行機便があるが、サンパウロの飛行場が霧で着陸できなくなり、わずか4時間の飛行時間なのに途中ブラジリアの飛行場で2時間、3時間待たされるのが度々ある、毎年同じこと、なんとかならないものなのだろうか。
 この“マイゾウ・メーノス“の世界でも良いこともある、誕生日・結婚披露宴・記念パーティー等に招待された場合、子供連れの家族全員で出席出来ることである、ずうずうしい人は親戚、友達まで連れて行くこともある。“マイゾウ・メーノス”の世界だから、招待するほうも、日本式に招待者の数をきちんと把握して、席順まで決めているのとは違い、おおざっぱな人数で、飲み物・食べ物(ほとんどバイキング式)・椅子・テーブルを準備しているだけだから、席がなくなれば皆立ったままで飲んだり、食事をしながらなごやかに話をしてパーティーは続けられる。それがまた時間の制限がなく、最後の招待者が帰るまで続けられる、とにかく話好きなブラジル人達のこと、最後の飲み物がなくなる朝方まで続く、日本みたいに「すみません、時間となりましたので、これにて終了させていただいます」なんてことはない、そんなこと言ったら、逆に「招待しておいて、帰れとはなんだ!」とそれこそ大騒ぎなってしまう。

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