マイゾウ・メーノス(まあーまあー)の世界ブラジル(5)=サンパウロ 梅津久

 先ほどの、汽車・バスの話に戻りますが、日本では時間だけでなく、汽車・バスなどは決められた所にきちんと止まる、特に地下鉄、列車などは、ホームにマークがあり、数十センチも違わないでピタッと停止する。そのため乗客は決められた所にきちんと列になって待っている。こんな光景をブラジル人が見たら大変ビックリしてしまう。“マイゾウ・メーノス”の世界のブラジルでは、そんな決まり事はなく地下鉄もバスも適当に止まる、乗客は乗車口に向かって、ドド・ドドッと移動する、地下鉄はまだ数メーターだけだから良いが、バスなどはひどい、何台も前や、後ろに止まって、乗客を乗り降りさせる、またバスの二重停車まであり、止まっているバスの間をくぐり抜け一目散に乗車口めがけて走らないと乗り遅れてしまう、年寄り、子供を抱えた人は大変である。(最近では地下鉄の駅で混雑回避の為に、ホームに停止マークを表示し、さらに“降りる人を待ってから乗車して下さい”と書かれているが、それでもだめで、降りる方と乗る方を手摺で仕切っている駅も出て来た。)
 こんな無秩序な場合でも「おお、これはすごい!」と言わされることがある、それは“プリメイロ・ダーマ”と言って“女性優先”の習慣である、どんなに列が乱れ(もともと列などないけれど)我先と走り出す状況になっても、後ろに女性がいれば、手を差し向けて先に譲る、後ろの人が譲れば、その前の人も同じく譲る、そうすると自然と女性が先に乗ってしまうことになる。これはとても紳士的な振る舞いで、だれに言われることなく自然と振る舞われる。女性をも押しのけて列車に乗る日本人に、ぜひ見せたい光景です。
 さらに女性に関しては、日本人はよく女性に年齢を訪ねるが、ブラジルでは失礼にあたるのでよほどのことがない限り避けなければならない。

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