洪水で排水溝に吸い込まれ=3分間水没、奇跡の生還

アドリアナさんが転落した排水溝(10日付G1サイトの記事の一部)
アドリアナさんが転落した排水溝(10日付G1サイトの記事の一部)

 先週、豪雨に見舞われた東北部レシフェ大都市圏では、土砂崩れや濁流に巻き込まれるなどして7人が死亡した。特に状況が悪化した5日、ジャボアトン・ドス・グァララペス市の通りを歩いていた女性が、排水溝に吸い込まれる事故が発生した。女性は約3分間水中に沈んだ後、自力で脱出したが、その緊迫した状況は防犯カメラに記録され、世間の大きな関心を引き起こしていると、10日付G1など(1)(2)が報じた。
 事故は、主婦マリア・アドリアナ・リマさんが、息子が通う学校に向かってノッサ・セニョーラ・ド・カルモ街を歩いていた際に発生した。当時、水位は膝まで達しており、彼女は足元の開放型の排水溝に気づかず、落下してそのまま水中に吸い込まれてしまった。
 グローボ局の取材に対し、アドリアナさんは、排水管内を強い水の流れに逆らって泳がなければならなかったと明かし、「私は生まれ変わった。あの中で経験したことは、私が今まで想像もしていなかった、最大の悪夢でした。あの穴の中で汚れた水に沈み、泳ぎ続けなければならなかったのです」と振り返った。
 防犯カメラの映像には、アドリアナさんが傘をさしながらゆっくり歩いていたが、9時14分に排水溝に落下し、傘もろとも水中に消えていく様子が捉えられていた。9時17分までの3分間、彼女の姿は水面下に消えていた。
 その瞬間を彼女は、「足を踏み入れた瞬間、何も見えなくなり、何が起こったのかもわからずに、なんとか這いあがろうと泳いでいました。私は神様に『これで私の人生は終わります。翌日には遺体を見つけてください』と言い続けていた」と回顧した。
 アドリアナさんは呼吸もできずに、ただ泳ぎ続けていたという。絶望的な状況下で、彼女は排水溝内に空気の溜まり場があることに気付き、足をついてそこに首を出すことができたという。携帯電話を取り出して誰かに連絡を試みたが、うまくいかなかった。この瞬間、アドリアナさんは助けを求めることができないと悟り、再び水中に潜って脱出を試みる決意をした。
 彼女はこの時の状況について、「私は『神様、あなたは私を過去にもっと過酷な状況から救ってくださいました。だから、今回も私は生きて抜け出すことができると信じています。今こそ腹を括ります』と言って再び潜り、力を込めて泳ぎました。その時、手が何かに支えられるような感覚があり、『足を外に出せ』と言われたように感じました。私はその言葉に従って足を出したのです」と振り返った。
 アドリアナさんの状況に気付いた通行人らによって、彼女は無事に助け出された。彼女はその日から数日間発熱が続いたという。
 アドリアナさんが転落した排水溝を管理している市役所は公式声明で、「現場はすでに封鎖されており、来週中に作業員が穴の修理を完了する予定です」と述べた。

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