腐敗した夫の遺体と生活=認知症の妻と息子が長期間?

高齢者男性の遺体が発見されたアパートは「ゴミ屋敷」と化していた(10日付G1サイトの記事の一部)
高齢者男性の遺体が発見されたアパートは「ゴミ屋敷」と化していた(10日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州沿岸部サントス市にあるアパート内で6日、居住者の79歳の男性が死亡しているのが発見された。男性は、アルツハイマー病を患う妻(77歳)と息子(47歳)と同居しており、2人は男性の死後も数日から数カ月間にわたり、その遺体と一緒に過ごしていたとされる。発見時、遺体はすでに腐敗が進み、強烈な悪臭を放っていたという。夫婦の健康状態や生活環境についてを不安視する近隣住民からは、何カ月も前から、息子の行動や家庭内の不衛生さに関する通報があったと10日付G1など(1)(2)が報じている。
 同市の市警高齢者保護局の捜査官が、エンバレ地区にある家族のアパートに赴き、裁判所から発行された捜索・押収令状を執行した。
 事件報告書によれば、捜査官らはアパートの呼び鈴を鳴らしたが応答がなかったため、鍵屋を呼んで住居に立ち入り検査をし、現場で妻と息子、そして高齢者の遺体を発見した。室内にはゴミが散乱し、非常に不衛生な状態であったという。
 高齢者の妻は救急医療センター(UPA)に搬送され、その後、福祉担当者に付き添われ保護施設に送致された。
 一方、現場にいた息子が警察署に連行され、事情聴取を受けたが、虐待の証拠は見つからなかった。また息子は糖尿病を患っており、市内の病院に数日間入院していたことも考慮され、即座に逮捕されることはなかった。
 だが、息子の無頓着な態度や攻撃的な行動、さらに室内に積もったゴミの状況を心配して、近隣住民からは数カ月にわたって警察への通報が続いていたことが判明している。
 警察は高齢者の死因が虐待によるものか、あるいは健康上の問題によるものかを明確にするため、司法解剖の結果を待っている。夫妻にはもう一人の娘がいるが、彼女はさんおサンパウロ市在住で、遠方に住んでいるという理由で、警察の聴取には応じていないという。

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