【14日の市況】ボベスパ指数は2.70%急騰の128,218.59ポイント、週足で2.89%上昇=ドルは1.26%安の5.69レアルに

 週末を迎えたブラジル市場は大きな上昇を記録した。ボベスパ指数は2.70%高の128,218.59ポイントで取引を終え、週間でも2.89%の上昇となった。1日の上昇幅は3,368.41ポイントに達した。為替市場でもブラジルレアルが対ドルで上昇し、米ドルは1.26%安の5.69レアルと、5.70レアルを下回る水準まで下落した。国際的な金融機関の中には、今後さらなるレアル高の余地があるとの見方を示すところも出ている。
 この上昇の背景には、米国の貿易政策に関する懸念の緩和がある。トランプ大統領が表明していた関税の即時発動が見送られ、各国と個別に交渉を進める方針が示されたことで、市場に安心感が広がった。米国市場でも投資家の間に安堵感はあったものの、主要指数はまちまちの展開となった。特に1月の小売売上高が大幅に落ち込んだことで、米国経済の先行きに対する慎重な姿勢が強まった。

大統領支持率低下で市場は好感

 今回のブラジル市場の高騰には、もう一つの要因がある。それは、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の支持率低下だ。世論調査機関「ダッタフォリャ(Datafolha)」の最新調査によれば、ルーラ大統領の支持率は過去3回の政権の中で最低水準に落ち込んだ。
 政権支持率の低下は市場にとってプラス材料となった。政府の影響力が弱まることで、経済政策がより市場寄りの方向に進む可能性があるとの見方が広がったためだ。ルーラ大統領自身は2026年の次期大統領選挙をまだ遠いものとしているが、市場関係者の間では「政治リスクの後退」として受け止められている。

中央銀行と金利政策の議論

 また、ブラジル中央銀行(BCB)のガブリエル・ガリポロ総裁は、サンパウロ州産業連盟(FIESP)の企業関係者と会談を行った。この席でガリポロ総裁は、中央銀行として物価安定を最優先に政策を遂行する意向を示した。しかし、産業界の間では、政策金利(Selic)の引き上げに対する反発が根強い。
 小売大手「マガジン・ルイザ(Magazine Luiza、MGLU3)」の会長ルイザ・トラジャーノ氏は「中小企業はこれ以上の金利負担に耐えられない」と強く訴え、金利政策の見直しを求めた。一部の企業関係者は、インフレ目標の達成のために景気を抑制する政策は矛盾していると指摘した。
 これに対し、ガリポロ総裁は「市場関係者の予測と実際の経済指標には大きな乖離があり、中央銀行は慎重な姿勢を取る必要がある」と述べ、冷静な対応を強調した。

主要銘柄が上昇、銀行・資源関連株に買い

 この日の市場では、資源株と金融株が上昇を主導した。

  • 鉄鉱石価格の上昇を受け、ヴァーレ(VALE3)は1.48%高
  • ペトロブラス(PETR4)は、マージン・エクアトリアル海域での探査を巡る議論が進む中、3.08%高
  • 大手銀行株も一斉に上昇し、ブラジル銀行(BBAS3)は4.74%高、サンタンデール・ブラジル(SANB11)は3.82%高

 さらに、B3(B3SA3)も3.76%の上昇となった。
 一方、決算発表を受けた銘柄の動きはまちまちだった。カイシャ・セグリダーデ(CXSE3)は第4四半期決算(4T24)が市場予想に届かず0.47%下落。ポルト(PSSA3)は利益が小幅増にとどまり、0.51%下落した。一方、ウジミナス(USIM5)は赤字転落の決算を発表したものの、第1四半期(1T25)の業績回復期待から1.87%高となった。
 また、食肉加工大手のミネルバ(BEEF3)が5.36%高となるなど、食品関連株も堅調だった。小売セクターも金利低下期待で買われ、マガジン・ルイザ(MGLU3)は5.28%高、C&A(CEAB3)は9.23%高と急騰した。

来週の焦点:米金融政策とブラジルGDP速報

 来週は、米連邦準備制度理事会(FRB)の会合議事録(FOMC議事録)が公開される予定で、市場の注目が集まる。ブラジル国内では、12月のGDP先行指数「IBC-Br」が発表される予定だ。
 今週の市場は「歓喜の金曜日」で締めくくられたが、来週の展開はどうなるか不透明だ。しかし、この勢いが続く可能性もある。

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