
【既報関連】昨年12月にリオ・グランデ・ド・スル州トーレスで発生した「ヒ素入りクリスマスケーキ事件」に関し、新たな展開があった。家族の集まりでヒ素を混入したケーキを使用し、親族3人を死亡させたとして殺人容疑で逮捕されていたデイゼ・モウラ・ドス・アンジョス容疑者が13日、収監先の女性刑務所の独房で死亡しているのが発見された。警察は自殺の可能性を含め、死亡に至った経緯を調査していると同日付CNNブラジルなど(1)(2)(3)(4)が報じている。
警察当局によると13日朝の点呼時、デイゼ容疑者は生命反応のない状態で発見された。刑務所職員が直ちに応急処置を施し、緊急医療サービス(SAMU)を要請したが、到着した医師により死亡が確認された。
カロリーネ・カレガリ警察署長は、デイゼ容疑者の死因が縊死であることを明らかにし、「最終的な調査結果を待つが、現時点では自殺の可能性が高い。自身の衣服を使用し、首吊り自殺を図ったと考えられる」と述べた。
独房内には「私は殺人犯ではない!」と書かれたTシャツと、警察に宛てた手紙が発見された。手紙の詳細は調査中だが、デイゼ容疑者が無罪を主張し、精神的苦痛や抑うつ状態にあったことを訴える内容とされている。
事件は2024年12月23日、クリスマスの家族の集まりで発生した。デイゼ容疑者がヒ素を混入した小麦粉を、姑ゼリさんが何も知らずに使用してケーキを作った。それを食べた6人のうち、親戚の女性3人が死亡、さらにゼリさんを含む2人が重体となった。
捜査により、デイゼ容疑者の標的は姑ゼリさんであり、2人の間には長年にわたる確執や金銭トラブルがあったことが判明している。
同事件後、同年9月に死亡していた舅パウロさん(ゼリさんの夫)の遺体を掘り起こして検査した結果、やはり体内からヒ素が検出された。パウロさんはデイゼ容疑者が用意した粉ミルクとバナナを摂取した後に死亡しており、デイゼ容疑者による毒殺の疑いが強まった。
さらに、夫ディエゴさんと息子の尿からもヒ素が検出されており、デイゼ容疑者が用意したマンゴージュースを飲んだ後に体調を崩したと証言している。警察はデイゼ容疑者が他の人物にも毒を盛ろうとしていた可能性について捜査を進めていた。
デイゼ容疑者の突然の死亡により、事件は新たな局面を迎えた。警察はこれで捜査を打ち切るのではなく、その他の遺書の有無や独房内の状況を詳しく調査し、死亡に至った経緯を明らかにする方針だ。