
中部ゴイアス州で2020年7月、誤認逮捕により父親が警察署に連行されている間に、家に取り残された当時1歳だったミゲル・ペレイラ・グアルベルトくんが自宅内プールで溺死する事件が起こった。同州裁判所は24年10月、遺族に対して50万レアル(約1325万円)の賠償金を支払うよう、州政府に命じたが、父親は「もう息子が戻ってくることはない」と無念さを訴えたと16日付G1など(1)(2)(3)が報じた。
事件は、ゴイアス州プラナルチーナ市で発生。父親のジョナス・ペレイラ・グアルベルトさんは、自宅でミゲルくんの他、3歳、6歳の3人の息子を世話していた際に、強盗容疑で誤認逮捕されたという。母親は買い物へ出掛けており、不在だった。
ジョナスさんは「子供たちは部屋でテレビを見ていた。私は掃除をしようと、ほうきを取りに門の外に出た瞬間、逮捕され、幼児達だけが残されると言うこともできなかった」という。
その後、警察署での目撃証人による確認で、ジョナスさんが犯人ではないと分かり、彼はすぐに解放された。だが帰宅途中、彼は息子が溺死したことを知らされたという。
プールに浮かぶミゲルくんを発見したのは、買い物から帰宅した母親のライフラ・ダ・シルヴァさんだった。「私はプールに飛び込み、息子の足を掴んで腕に抱きかかえ、必死に家の門まで走った。この時、世界が終わったように感じた。今私はただ、このことが無罪放免で終わらないことだけを願っている」と語った。
当初は事故と見なされていたが、その後の捜査で、復讐心から引き起こされた犯罪だと判明。ミゲルくんの従兄にあたる26歳の男が、家族間の争いから復讐心を抱き、事件を起こしたことが分かった。
警察捜査によると、ジョナスさんが逮捕された後、この男はジョナスさんの家に家族の要請で訪れ、ミゲルくんをプールに放置した後、立ち去ったとされている。警察はこの男がミゲルくんを水に投げ入れた可能性も視野に入れ、事件に関与したとして逮捕状を請求したが、裁判所はこれを却下し、男は釈放された。
捜査官によると、ミゲルくんは運動機能に障害があり、自分でプールに行き、縁に登って水に飛び込むことはできなかったとされている。危険であることを知りながらミゲルくんを放置したか、最悪の場合は水に投げ込んだ可能性があると結論づけられた。
2024年10月、同州裁判所は、事件が警察の行動または不作為によって引き起こされたと認定し、ミゲルくんの遺族に対して50万レアルの賠償金支払いを州政府に命じた。州警察は当時、内部調査の結果、警察官達は子供しか残されていないことを知らなかったとし、警察官に責任はないと結論付けていたが、最終的に家族への賠償が決定された。
ジョナスさんは「無実の子供が死んでしまったことで、決して正義は達成されないと思う。息子を元に戻すことはできないのだから」と、悲痛な胸の内を明かした。