
【既報関連】1月31日にサンパウロ市リベルダーデ区の宮城県人会館で行われた「第2回日系農業者等連携強化会議」の農業技術交流プログラムとして、徳島県で柚子生産を行う「株式会社黄金の村」の神代晃滋取締役と、有機葉面散布肥料オルガミンの販売を行う「株式会社パルサー・インターナショナル(東京都、井上倫平代表取締役)」の玉田尚宏営業主任がそれぞれ自社の事業内容を説明した。
2013年に設立された「黄金の村」では、地元の「木頭ゆず」を自社で栽培生産するとともに、木頭地区の契約農家から仕入れたゆずを自社工場で加工。木頭ゆずの一番搾り果汁をはじめ、ポン酢、ゆず胡椒のほか、果皮から抽出したアロマオイル、シャンプーやボディソープなど自社ブランド商品を販売している。
寒暖差のある高地(標高300~500メートル)で栽培される木頭ゆずは香り豊かで酸味が強く、自社で蓄積した接ぎ木などによる栽培ノウハウと高品質にこだわり、毎年収穫量と売上げを伸ばしているという。国内消費をはじめ、ヨーロッパへの輸出でゆずの人気と需要は世界的に高まっており、さらに同社では昨年から米国市場に進出したことで注文が急増。生産が追いつかない状況になっているそうだ。
そのため、神代取締役はブラジルでの「木頭ゆず」栽培調査も兼ねて今回の会議に出席しており、数年後をめどにブラジルから米国への輸出販売も見込んでいる。
神代取締役によると、ブラジルでの木頭ゆず栽培について、(1)苗の調達(2)カンキツグリーニング病(3)搾汁施設の問題があるというが、「ゆずはオレンジの倍の価格で販売できるし、大規模生産すればコストダウンもでき、生産者にもメリットがある」とし、興味のある生産者にゆず栽培を呼びかけている。
一方、「株式会社パルサー・インターナショナル」が販売する有機葉面散布肥料オルガミンは、魚や糖蜜などの発酵原料に18種類のアミノ酸群、有機酸、ビタミンやマグネシウム、ホウ素、マンガン、亜鉛、モリブデン等を加えて精製した天然由来の肥料だという。
1985年に設立した同社は、翌86年にブラジルのトロピカル・テクニカ・アグリコラ社(尾崎俊彦共同代表)と総代理店契約を結び、これまでに米国のほか、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、中国などでもオルガミンを出荷販売している。

営業主任の玉田氏によると、オルガミンの葉面散布により、植物が持つ生理機能を活性化させることで、病気や不規則な気候に対する耐性が強まるという。その結果、例えば山梨県のシャインマスカット生産農家では、ブドウの粒が大きくなったほか、糖度もアップしたそうだ。
また、台湾輸出向けに生産している青森県のリンゴ農家では貯蔵性が増大し、オルガミン使用農家による全体的な生産物の収量増加や高温障害の防止にも役立っている。
ブラジル国内ではカフェ農園で葉面散布したところ、実の量が2倍になり、何年も連続して収穫することが可能になった例もある。
玉田氏は「気候変動にも強く、すべての作物に効果がありますので、ぜひともブラジルの農家の方々もサポートさせていただきたい」と意欲を見せていた。
2社のホームページ、連絡先等は以下のとおり。
【株式会社黄金の村】https://ogonnomura.jp/
【株式会社パルサー・インターナショナル】https://pulsar.co.jp/
【トロピカル・テクニカ・アグリコラ】https://orgaminbr.com.br/