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頭を瓶で殴られ四肢麻痺に
20歳女性が安楽死望むも却下
写真= エリカ・ヤニラ・モラレスさん(Foto: Reprodução/Redes Sociais)
南米コロンビアのエリカ・ヤニラ・モラレスさん(20歳)は、2021年にガラス瓶で頭を殴られ、脳卒中を起こして四肢麻痺となった。治療法がなく、家族の経済的負担も大きいため、エリカさんは身体のわずかな動きでアルファベットを選択する意思伝達装置を使って安楽死を求めた。コロンビア司法省は、安楽死が患者の意思に基づいて合法的に行われることを認めているが、今回はエリカさん自身からの直接的な申請ではないとして却下されたと19日付オ・グローボ紙など(1)(2)が報じた。
姉タチアナさんによると、エリカさんは17歳の時、バーで2人組の女にガラス瓶で頭を殴られて脳卒中を起こし、深刻な障害を負った。治癒する可能性はないと、医師から告げられたという。
エリカさんが四肢麻痺となった後、家族の経済状況はさらに厳しくなった。母親は娘の介護を一手に引き受け、医療施設への定期的な通院や日常生活のサポートを行う一方、家庭内の責任も負わなければならなかった。
タチアナさんは「家賃の支払いに加えて、妹のおむつや医療用品の購入などで家計が圧迫され、私たちは金銭的な援助を求める必要がありました」と述べた。加えて介護に適した専用部屋や、個別の医師や看護師、その他の専門的な医療サービスも必要になったという。
さらに「医者からは妹の容態がいつ悪化してもおかしくないと言われ続け、希望を失っていきました。妹を失うことは受け入れがたく、まだ覚悟はできていません。でも、妹がこれ以上苦しみ続ける必要がないことを理解したんです」と語った。
そしてエリカさんの体は食べ物を受け付けなくなり、次第に体重が減少し、床ずれを発症するなど健康状態が悪化の一途を辿った。そして彼女は「私は機械によって生かされている。もう限界。他者に依存することに疲れた」と伝え、安楽死の権利を求める手続きを進めるよう母親と姉に訴えた。
コロンビア司法省の公式見解によれば、安楽死は「肉体的または精神的な苦痛が激しい場合、重篤または治癒不可能な疾患により、患者が自らの意思で行うことが認められる」とされており、患者の意思に基づく安楽死の合法性は保証されている。
エリカさんは事件以来、言葉を発することができなくなり、家族とのコミュニケーションにはアルファベットを使用して意思を伝えている。この方法でエリカさんは安楽死を求める意志を示したが、その申請は本人によるものではなく母親と姉によるものだとみなされ、健康保険機関「EPS Emssanar」によって却下された。
タチアナさんは自身のSNSに、「妹が下した決断を尊重してほしい。彼女が私に求めた通り、私は愛をもって彼女をサポートします。私は、彼女が安らかに休めるように手助けしたいだけ。そのことで私が一生苦しむことになっても構わないのです」と綴り、理解を求めた。