ブラジルの株式市場ベンチマークであるIbovespaは2月最後の取引日に大幅下落し、12万3,000ポイントを割り込んだ。カーニバル前の慎重な姿勢や、国内外の政治リスク、さらにコモディティ価格の下落が影響した。特に、主要銘柄(ブルーチップ)のヴァーレ(VALE3)とペトロブラス(PETR3;PETR4)が売られたことが指数の下落を加速させた。この結果、Ibovespaは1.6%安の122,799.09ポイントで取引を終えた。午前中には一時0.09%上昇し、124,916.19ポイントを付ける場面もあったが、最終的には下落に転じた。
また、ドルは対レアルで1.50%上昇し、5.90レアルを突破。金利も大幅に上昇した。
2月のIbovespaの月間下落率は2.64%であり、本日の下落が大きく影響した形となった。
国内政治の影響:グレイジ・ホフマン氏の任命
午後に入り、市場はすでに下落基調にあったが、カーニバル前のポジション調整に加え、国内政治のニュースが売り圧力を強めた。
ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、与党・労働者党(PT)の党首グレイジ・ホフマン氏を新たな政務調整担当大臣(SRI)に指名。これまでその役割を担っていたアレシャンドレ・パジーリャ氏は、次期保健大臣に就任する予定だ。
Grupo Laatusのチーフストラテジストであるジェファーソン・ラトゥス氏は「まるで冗談のようだ」と語る。「彼女は市場だけでなく、議員の間でも評価が低い。もともと弱かった政府の政治調整力がさらに悪化することが懸念される」と指摘した。
米国市場と地政学リスク:トランプ・ゼレンスキーの対立
ウォール街もこの日、上昇していた相場が午後には伸び悩み、S&P500は一時マイナス圏に転落。最終的には持ち直したものの、不安定な動きとなった。
その背景には、ウクライナのゼレンスキー大統領と米国のドナルド・トランプ大統領の対立があった。両首脳はホワイトハウスの大統領執務室(オーバルオフィス)で会談した後、米国のウクライナ鉱業セクターへの関与に関する合意に署名する予定だったが、合意は成立しなかった。
会談の中で、ゼレンスキー大統領はロシアに対して慎重な姿勢を取るようトランプ大統領に要請。一方で、トランプ氏はゼレンスキー氏を「無礼だ」と非難し、両者の対立が公然化した。
ゼレンスキー氏は、「ウクライナの都市は3年間の戦争で瓦礫と化した」と主張。これに対し、トランプ氏は「プーチンは和平を望んでいる」と反論した。
この対立により、地政学的リスクが再び市場の不安要因となった。
投資家のジム・ルベンタール(Cerity Partners)氏は「今見たばかりのことに動揺している」とCNBCの番組「Halftime Report」でコメントした。「米国の外交政策がロシアとプーチンを強化する方向に向かっているとすれば、それは株式市場にとっても、世界経済にとっても良いことではない」と述べた。
ブラジル市場への影響
ブラジル市場はすでにカーニバル休暇を前にリスク回避ムードが高まっていた。さらに、来週発効予定のトランプ関税が市場の重荷となっている。
ドル相場:R$5.91突破、政治リスクと地政学リスクが影響
ドルは5.91レアルまで上昇し、今月の最高値を更新した。
当初、米国のインフレ指標とトランプ氏の関税計画が材料視されていたが、ゼレンスキー・トランプ会談の対立が発覚すると、リスク回避の動きが加速した。
また、グレイジ・ホフマン氏のSRI就任が国内市場の懸念材料となり、レアル安を加速させた。
2月のIbovespa銘柄別動向:上昇トップと下落トップ
2月のIbovespaは2.64%下落。背景には、インフレ懸念による金利上昇があるほか、ゼレンスキー・トランプ会談の緊張が市場に影響を与えた。
上昇した銘柄トップ3(10%以上上昇)
- カルフール・ブラジル(CRFB3)
- エンブラエル(EMBR3)
- アンベブ(ABEV3)
また、5%以上上昇した銘柄は6つのみで、限られた銘柄が強さを見せた。
下落銘柄トップ5(20%以上下落)
- Azzas 2154(AZZA3)
- Vamos(VAMO3)
- ブラスケム(BRKM5)
- ヴィヴァラ(VIVA3)
- MRV&Co(MRVE3)