
日本大衆文化から生まれたお姫様スタイル「ロリータ・ファッション」をブラジルに広める使命を持って数々のカワイイ系イベントを行ってきた松田明美さんが、3月から常設カフェ「Sweet Mimi Cafe」をサンパウロ市プラッサ・ダ・アルボレ区で始めた。入店は完全予約制(https://cafe.sweetmimi.com.br/reservas/)だ。
松田さんは「今まではイベントでしたが、これからは常設カフェの形で、カワイイ文化を広めます」と新しい段階に来たことを告げた。ロリータ・ファッションを普段着にして当地にカワイイ文化を広めてきた彼女は、2013年に日本政府から「カワイイ大使」に任命された。愛好家を集めて開催してきた「お茶会」を一般公開してロリータ文化を広く広く発信するため、15年に日伯外交120周年記念「第1回ミミパーティ」を開催した。
回数を重ね、2018年には来場者3千人を数え、野口泰総領事(当時)も出席したがコロナ禍で一旦休止。その後、同パーティ関係者らがメイドカフェを開店するなど、松田さんは「新しい世代も出てきて、ロリータ文化が独り歩きする状態になった」と感じ、それなら自分で常設スペースを持とうという流れになったという。
新カフェはメトロ駅から徒歩5分、黄色い扉を開けて階段を上ると、パステルカラーの不思議空間が広がっている。ミミパーティから生まれた独自キャラクターのスウィートミミとダークミミの2人に加え、ニギリン(握り寿司のキャラ)の3人がテーマとなり、カワイイ文化を具現化した店内になっている。

松田さんは「このキャラは私たちのオリジナルです」と胸を張る。このキャラをテーマに、ピンク・サーモン・ラーメン、ピンク卵サンド、ハンバーグ・カレーなどの独自メニューを始め、デザートもそろえている。各種クレープの中でも抹茶クレープは逸品で、パフェも日本と同様のものが楽しめる。
ドリンクも「モクテル」(ノンアルコール)の独自カクテルを作り、例えばハイビスカスティーにショウガや鷹の爪などを利かせたサッパリした飲料など、オリジナルメニューが色々ある。オリジナルのゲームも2種類用意されており、キャラクターをあしらったTシャツやマグカップなどのグッズも各種用意され、カラオケもできる。
松田さんに開店動機を尋ねると「母の仕事の関係で、日本で20年間過ごして20歳ぐらいでブラジルに帰ってきた。自分を育ててくれた日本に恩返ししたいという気持ちでカワイイ文化を広めている」と説明した。日本で日本人同様に教育を受けてきたため、00年に帰伯した際、最初はポ語が出来ず困ったとも。
日本でクラシックバレエの学校を卒業、ブラジルでプロにと思ったが挫折。そんな折、アニメ漫画店「アニマンガ」で日本語講座を始めたことから日本語教育の道に入り、同時にカワイイ文化に目覚めて現在に至る。本人曰く「トゥーシューズを捨てて、頭にリボンを付けました」とのこと。
彼女は日本語を通して伝統文化からポップカルチャー、おもてなしや作法、エチケットまで教えることで定評がある。今年は日伯外交130周年、常設空間を始めてさらにバージョンアップしたカワイイ文化発信を狙うという。
【電話】11・98887・9320【住所】Rua das Rosas, 52 – Sobreloja – Mirandópolis, São Paulo