リオのカーニバル=マンゲイラに日本人15人参加=細川さんツアー29年連続参加=疲れ切ったが充実の体験

 「世界最大」と言われるリオデジャネイロのカーニバル。そのスペシャル・グループによるデスフィーレ(パレード)に参加した日本人15人の中に記者も同行した。スペシャル・グループには12チームあり、中でも優勝回数20回を誇る強豪老舗チーム「マンゲイラ」への参加ツアーを企画しているのは、サンパウロ人文科学研究所常任理事の細川多美子さん。今年29回目で、毎年新しい参加者を引き連れてツアーを組んでいる。

 1日朝、貸し切りバスで聖市を出発。車中、自己紹介から始まり、多美子さんによるサンバ講義やテーマ曲の練習とバスの中からすでに和気藹々だ。夕方リオのホテルに到着し、カーニバルの衣装を受け取る。部屋に運んですべて揃っているか確認、着用して自分の身体に合うよう各自調整する。衣装や装飾品に不備があったり、衣装から余計なものが見えてしまうと、パレードで減点対象になってしまうため慎重にチェックする。

コルコバードの丘でマンゲイラの旗と一緒に

 翌日はコルコバードの丘、マラカナンスタジアムと観光を楽しみながら参加者の一体感がどんどん高まっていく。24時ごろ衣装を着用し、ホテルロビーに集まり、マンゲイラの旗を持って集合写真。バスでパレード前の集合場所へ移動。ここで長い時間待機する。前のチームの出発の合図で5分間ほど花火が上がり、否が応でも気分が盛り上がる。
 マンゲイラは全体で三千人、山車も3基。日本人グループが混じった「Ala Vendaval(アーラ ヴェンダバル 嵐、という意味)」は150人近くいる大きな集団で、三つ目の山車の後ろをパレードした。一見かわいらしく見えるが、実はこの衣装(ファンタジア)は「NAS DANÇAS, DISFARCES E CONCHAVOS(変装と策謀を踊りで)」というテーマで、「仮面をかぶり変装して踊りながら、ひそかに人種差別と闘っていた」という意味が隠されている。サンバに詳しくない初心者たちにも、多美子さんが詳細に解説してくれる。なんとこの衣装は盾も含めて総重量7キロもある。

マンゲイラTシャツやマンゲイラカラーのメイクなどでパレード観戦へ

 日本人チームはパレード二日目4チームのうち最後を飾る。午前3時近くにサンボードロモと呼ばれる、観客席のある試合会場を行進開始。必死に覚えた歌を歌いながら横縦の人とずれないように行進。頭に載せている帽子が非常に重たく、紐で固定できないため、どんどんずれてくる。盾も重く、途中で持つ手を変えようとした瞬間に帽子が落ちてしまい、隣の人に盾を持ってもらって慌ててかぶりなおした。審査員に見られて、減点されてしまったらどうしようと気が気でない。
 4時近くに行進終了。この日のリオの夜の気温は約23度、湿度も70%以上あった。がっつり衣装を着用して踊りながら1時間行進したので汗びっしょり。迎えのバスの到着場所まで衣装のまま急いで歩き、ホテルへ。明るい場所で参加者の顔を見ると、疲れ切ってはいるけれど皆とても充実した表情だった。
 翌日はポン・デ・アスーカルなどの市内観光。街中ではブロッコと呼ばれる街頭のカーニバルが賑やかに行われ、カーニバル用衣装やグッズがあちこちで売られている。記者もせっかくだからと色々買い求めてパレード観戦に備えた。

優勝したベイジャのパレード

 21時にロビーに集合し、サンボードロモで22時過ぎから始まったパレード観戦。我々が観戦した2番目の「ベイジャ・フロール」が優勝したチームだった。この時から「このチームはいいね」と参加者の中でも高評価だった。
 翌朝は4時まで見ていた人も11時にホテルをチェックアウトし、貸し切りバスで帰聖。来年はマンゲイラツアーの記念すべき30回目になるので、「ぜひ来年も成功させてほしい」と口々に語りながら解散した。
 翌日5日パレードの採点があり、マンゲイラは残念ながら6位。カーニバルの採点は9項目あり、多美子さんの妹で29回目にして念願叶って日本から来伯参加した髙良美紀さんは「私たちに関わる「進行 Evolução」は審査員全員10点満点だったからうれしいね」と喜んだ。暑い熱ーい、カーニバルが終わってしまった。

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