精神疾患による休職者激増=不安障害と鬱病で深刻ダメージ

精神疾患による休職件数のグラフ(2014〜24年)(10日付G1サイトの記事の一部)
精神疾患による休職件数のグラフ(2014〜24年)(10日付G1サイトの記事の一部)

 2024年のデータによると、ブラジルでは精神疾患による休職者数が47万件を超え、前年に比べて60%以上の増加を記録。過去10年間で最も多い数となった。特に不安障害と鬱病が主要な病状として挙げられ、専門家は、労働市場の不安定化、個人事業主化の進行、チーム縮小などが労働者の精神衛生の悪化を引き起こしていると指摘していると10日付G1(1)が報じた。
 障害一時給付金(傷病手当)は、労働者が医師の診断により15日以上の休職を必要とする場合、国立社会保障院(INSS)によって支給される。24年には、INSSに対して350万件の申請があり、うち47万2328件が精神疾患によるものであった。このデータは休職者数を示すものではなく、一人が休職を複数回取得する場合もある。
 INSSは、障害一時給付金の支出額について明らかにしていないが、労働者は平均しては3カ月間の休職を取り、その間、月に約1900レアルを受け取ったと説明している。これらの数字を基にすると、24年の精神疾患による経済的影響は、最大で約30億レアルに達する可能性がある。
 精神疾患の罹患者数の増加は国内労働市場に深刻な影響を与えており、専門家はこれには複数の原因があると指摘。特にパンデミック後の社会的孤立や経済的不安が、労働者の心理的負担を増大させたことが挙げられ、職場での過度なプレッシャーや長時間労働、チーム縮小が精神衛生に悪影響を及ぼし、在宅勤務の普及も労働者のメンタルヘルスに悪影響を与えているという。
 最も多くの休職者を出しているのはサンパウロ州、ミナス・ジェライス州、リオ州などの人口が多い州だ。だが人口と休職者数の割合で見ると、最も高い指数が記録されたのはブラジリア連邦直轄区、サンタカタリーナ州、リオ・グランデ・ド・スル州であり、特にリオ・グランデ・ド・スル州はこの年に大水害に見舞われたことが影響した。
 INSSのデータによれば、休職者の大多数は女性(64%)で、平均年齢は41歳だった。専門家によれば、女性が多数を占める理由は社会的要因によるもので、過重労働、低賃金、家族への介護、フェミサイド(女性に対する暴力)などが影響している。地理統計院(IBGE)の調査によると、女性は82%の職業分野で男性よりも賃金が低く、女性はパンデミックにより失業率や無償労働の割合が最も高い。
 精神疾患の増加への対応策として、連邦政府は労働安全規則であるNR―1を改定し、企業に対して労働者のメンタルヘルスの管理強化を求めている。この改定により、企業は過度なプレッシャーや長時間労働、精神的支援の不足など、労働環境におけるリスクを管理する責任を負うこととなる。これらの問題が発覚した場合、企業には罰金が科される可能性がある。
 労働者の精神的健康を守るためには、企業側の積極的な取り組みと、労働環境全体の改善が不可欠だ。

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