ブラジルの株式市場Ibovespaは、最終的にわずかに上昇し、0.29%高の123,863.50ポイント(+356.15ポイント)で取引を終えた。一方、商業ドルは日中の上下動の末に0.07%下落し、5.808レアルで終了した。唯一、先物金利(DI)は朝から上昇し、そのままの水準を維持した。
投資家にとっては、プラスとマイナスのニュースを天秤にかける一日となった。その中でも特に注目されたのは、ブラジルと米国で発表された2月の消費者物価指数(IPCAおよびCPI)だった。
2月のIPCA、22年ぶりの高水準
ブラジルの2月のIPCAは1.31%の上昇となり、同月としては過去22年間で最も高い伸びを記録した。ただし、Bradesco BBIは「予想の範囲内であり、インフレに対して前向きな要素も含まれている」と指摘。「工業製品の価格上昇はやや落ち着きを見せ、サービス部門には改善の兆しが見られる」との見方を示した。
CM Capitalのチーフエコノミスト、カルラ・アルジェンタ氏も「短期的な要因がプラスの兆しをもたらしているが、中央銀行が目指す持続的な改善のトレンドと断言するにはまだ時期尚早」と分析している。
一方、米国の2月のCPIは市場予想を下回る結果となり、アナリストの間では「FRB(米連邦準備制度理事会)が6月に利下げを実施する可能性が高まった」との見方が強まっている。
トランプ前大統領の関税発言
しかし、ポジティブな材料と並び、市場の不安要素も依然として残る。特に、ドナルド・トランプ大統領による新たな関税に関する発言が波紋を広げている。トランプ氏は、4月2日から関税交渉の柔軟性を大幅に制限すると表明した。
世界貿易機関(WTO)は「世界の物品貿易は、貿易の不確実性や関税の影響を受ける」と警鐘を鳴らし、英国政府は「すべての選択肢を検討している」とコメント。カナダも対抗措置を進めており、米国を中心とした貿易戦争の激化が懸念される。
ブラジルに対しても鉄鋼・アルミニウム製品への関税措置が影響を及ぼす可能性があるが、政府系シンクタンクIpeaによれば、その影響は市場の予想ほど大きくないとされている。ブラジルの鉄鋼業界は米国との対話を重視する姿勢を示し、政府も「当面は対抗措置を取らず、慎重に対応を検討する」との立場を示した。
Valeが大幅下落、Petrobrasは横ばい
こうした不安定な市場環境の中、ブラジル株式市場は一日を通じて乱高下した。鉱業大手Vale(VALE3)は1.25%下落し、Embraer(EMBR3)も0.36%安となった。
また、前日に第4四半期決算を発表したAzzas 2154(AZZA3)は13.39%急落し、小売全体の堅調な動きから大きく外れた。一方、Casas Bahia(BHIA3)は5.00%上昇し、引き続き上昇基調を維持した。
銀行株も一時は軟調だったが、最終的には持ち直しプラス圏で終了。ただし、Banco do Brasil(BBAS3)は0.40%下落した。食品業界では食肉加工企業の株価が軒並み3%以上の上昇を記録し、BRF(BRFS3)は3.24%高で取引を終えた。
石油大手Petrobras(PETR4)は一日を通して方向感のない動きを続け、最終的に前日比変わらずで終了した。
明日の注目指標は米国PPI
明日は、米国の生産者物価指数(PPI)が市場の焦点となる。ただし、市場の流れが急変する可能性もあり、「時間の流れとともにすべてが変わる」という言葉が、今の相場にぴったり当てはまるかもしれない。