
29歳のモデル兼パーソナルトレーナー、ベルナルド・ラベロさんは、トランス男性として初めて「ミスター・ブラジル」コンテストに挑戦する。性別移行を経てアイデンティティを確立し、過去の困難を乗り越えた自身の経験を通じて他者を勇気づけたいと新たな可能性を切り開く挑戦に臨んでいる。11日付G1(1)が報じた。
リオ州のレゼンデ出身のベルナルドさんは、4月2〜6日にサンタカタリーナ州バルネアリオ・カンボリウで開催される「ミスター・ブラジル」に、リオ南部地区代表として出場する。毎年開催されるこの大会は、国内で最も権威のある男性の美のコンテストの一つとされ、優勝者には「ミスター・ワールド」への出場権が与えられるほか、世界中のメディアに登場する機会を得るなどキャリアにおいて大きな一歩となる。
ベルナルドさんは「この挑戦を通じて自分をさらに成長させ、その経験を共有することで他の人々を勇気づけることができれば」と決意を示した。彼にとってこのコンテストへの出場は、単なる美の競技ではなく、彼自身の成長とトランスジェンダーコミュニティの一員としての存在を社会に示す機会だ。
ベルナルドさんは幼少期から自分の姿に違和感を覚えていたと振り返る。「4歳の頃から、自分は常に男の子のように感じ、家庭内で唯一の男性である祖父のような服装や行動をするのが好きだった」と語る。思春期に入ると、女性に魅力を感じる自分に気づき、14歳でレズビアンをカミングアウトした。
その後、自立してお金を稼ぐようになると、快適で自分らしい服を買う自由を得た。そして髪を短く切ったとき、自分自身の本当の姿がはっきりと理解できたという。
22歳で性別移行を決意し、専門家の助けを得てホルモン治療を開始した。特に母親の支援が大きな力となり、時間が経つにつれて父親も理解を示してくれるようになったという。「父は当初、私の決断に難色を示していた。でも叔母が父に『あなたの息子は大学を卒業して家も持ち、すでに独り立ちしている。性別が変わってもその人間性は変わらない。ありのままの彼を誇りに思ってあげて』と言ったことで、次第に理解を深めた」と話した。
ベルナルドさんは性別移行の過程について「最初のホルモン注射を受けた瞬間、私は本当に自分らしくなれたと感じた。どんな小さな変化でも、私にとっては大きな意味があった」と振り返った。
ベルナルドさんが男性としての人生を歩み始めて7年が経過した。彼は「この7年間の幸せは、ヤスミンとして過ごした23年の苦悩を消し去ることない。ベルナルドは、ヤスミンが子供のころに抱いていた夢や考えの積み重ねであり、彼女が今の私を作り上げてくれた。彼女の優しさ、思いやり、強さ、揺るぎない勇気、内気さ、賢さ、責任感が今の私を形作った。あの時彼女が下した決断に心から感謝し、共にこの大切な人生を歩んでいきたい」と締めくくった。