
米国政府による、鉄鋼やアルミの輸入品に対する25%の関税課税が12日から始まった。同国への輸出量の多いブラジルにも打撃になることが予想される。同日付G1サイト(1)が報じている。
ホワイトハウスは11日、「12日午前0時より、カナダやその他の国々からの鉄鋼やアルミの輸入品に対する25%の課税が、例外や免除は一切なく、施行されることになる」と発表した。
トランプ大統領によると、この政策は米国内の鉄鋼やアルミ産業を輸入品から保護することを目的としているという。かねてから大統領は「アメリカ・ファースト」を主要の公約に掲げており、その一環とされている。
トランプ氏は同時に、「企業には米国内に支店を設立し生産拠点を置くという選択肢があり、それによって関税ゼロが保証される」とも語っている。
米国は年間に使用する鉄鋼の約25%を輸入している。2024年のデータで見ると、ブラジルの米国に対する鉄鋼輸出量はカナダに次ぐ世界第2位で、その量は約400万トンとなっている。
専門家たちは、この課税政策により、ブラジルの米国への鉄鋼の輸出は長期的に見て減少していかざるをえないだろうとの見方を行っている。
ブラジル政府は、この政策が予告された時から対策を練っている。連邦政府関係者のブログによるとブラジルは米国に対等貿易の原則を破らせないために努めているとあり、商業上の損失を回避し、米国とのバランスの取れた関係を維持するための戦略を検討している。一部の関係者は米国からの輸入品に対して報復的な課税政策をとる可能性も視野に入れているが、別の政府関係者は、「米国がブラジルに対する敬意を失わないようにさせる必要がある」との懸念を感じているという。
連邦政府は現在、商工開発相も兼ねるジェラルド・アルキミン副大統領が中心となって連日会議を行い、前向きな解決策を話し合っているという。
その一つは個別の項目を見ていく作業だ。例えば、トランプ大統領は、米国はブラジルからのエタノールに2・5%しか課税していないにもかかわらず、ブラジルが米国産のエタノールに対して18%の課税を行っていることへの不満を公言している。だが、その一方で、米国は伯国からの砂糖14万6千トンに対し、80%の課税を行っている。こうしたことを交渉で指摘することにより、トランプ政権による関税政策が一方的なものにならないよう、対話を重ねていくことに努めたいとしている。
トランプ大統領は第1期政権の時も、鉄鋼やアルミに対する高関税政策にこだわってきた経緯がある。2018年3月には鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかけるとしたが、例外項目が多く作られ、実質的に無効化された。
同大統領は2019年12月にも、ブラジルはより多くの自国製品を米国に輸出しようとして、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかけようとした。だが、その時もボルソナロ大統領(当時)との交渉により、流れていた。