ブラジルの株式市場Ibovespaは2日連続で上昇し、1.43%の上昇率を記録。125,637.11ポイントとなり、1,773.61ポイントの上昇を見せた。これは今年2月14日以来の最高の取引となり、その際には2.70%の上昇を記録していた。一方、米ドルはほぼ変わらず、0.11%のわずかな下落で5.801レアルとなった。将来の金利を示すDI(預金証書)金利は概ね下落した。
慎重なムードから一転、上昇へ
取引開始時の市場は低調だった。1月のブラジルのサービス業の活動量が減少し、2025年のスタートは予想以上に低迷。金融引き締め政策が続く中、経済活動の鈍化が懸念された。しかし、その後発表された米国の生産者物価指数(PPI)は、前日に発表された消費者物価指数(CPI)と同様に抑制されていたことが好感され、市場は上昇へと転じた。
トランプ政権の貿易戦争が激化、米市場は下落
ブラジル市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に利下げを開始する可能性があるとの期待が広がったが、米国市場ではその楽観ムードは広がらず、主要指数は1%以上の下落となった。これは、トランプ政権による貿易戦争がさらに激化したためだ。
トランプ大統領は、4月2日に予定されている関税措置の変更について「考えを変えるつもりはない」と述べ、特に欧州連合(EU)との対立が深まっている。EUがウイスキーへの関税を撤廃しない場合、欧州産ワインに200%の関税を課すと警告した。
米国財務長官スコット・ベッセント氏はCNBCのインタビューで、ウォール街の最近のボラティリティ(価格変動)を懸念していないと述べ、「政府は市場と米国経済の中長期的な成長に焦点を当てている」と発言。先週、ベッセント氏は「政府支出から民間投資への移行」が進んでおり、「経済のデトックス(解毒)過程」だと説明したが、トランプ大統領がリセッション(景気後退)の可能性を否定しなかったため、市場は不安定な動きを見せている。
ウクライナ戦争の行方
トランプ氏は、ウクライナ戦争を早期に終結させると約束していたが、依然として実現していない。一方、ロシアのプーチン大統領の側近は、「ウクライナと米国が提案した一時的な停戦にロシアは反対する」と発言した。しかし、プーチン氏自身は「永続的な平和」が確立されるなら停戦に同意する可能性があると述べた。これは、現時点では具体的な進展がないことを意味している。
ブラジル政府、経済政策で一致
国内では、ブラジルのシモーネ・テベッチ計画大臣が「輸入牛肉の関税撤廃は道義的に必要だ」と主張し、財政均衡の目標達成を強調。「財政赤字ゼロ目標は達成する」と述べた。
さらに、フェルナンド・ハダジ財務大臣と新任のグレイシ・ホフマン大統領府関係大臣の会談が好意的に受け止められ、市場のセンチメントを改善。ホフマン大臣は、経済政策においてハダジ大臣と足並みをそろえる姿勢を見せた。
企業業績が市場を後押し
投資家の関心は企業の業績にも向けられている。2024年第4四半期(4Q24)の決算シーズンはまだ終わっていないが、CSN(CSNA3)とCSN Mineração(CMIN3)の業績は予想を上回り、それぞれ7.91%と9.09%の急騰を記録した。
また、証券取引所運営会社B3(B3SA3)は、裁判での勝訴による「億単位の利益確定」が評価され、10.48%の大幅上昇を記録した。
鉄鉱石価格の回復を受け、ヴァーレ(VALE3)は1.38%上昇。また、国際原油価格が下落したにもかかわらず、ペトロブラス(PETR4)は1.00%の上昇となった。さらに、グレイシ大臣が「アマゾンの赤道縁辺での石油探査は義務である」と発言し、同社の新しい取締役会メンバーの指名も発表された。
一方、カサス・バイーア(BHIA3)は指数外の銘柄だが、過去6営業日で110%以上上昇した後、4Q24の決算発表を受けて12.82%の急落となった。
金曜日には1月の小売業のデータが発表される予定であり、ブラジル経済の減速が改めて確認される可能性が高い。果たして、投資家の楽観ムードは続くだろうか?
政府、輸入食品の関税を正式に引き下げ
政府は木曜日、先週発表した食品の輸入関税引き下げを正式決定した。これは物価上昇への対策として実施されるが、実際の効果には疑問の声も上がっている。
ジェラウド・アルキミン副大統領兼産業貿易開発大臣は、牛肉、砂糖、トウモロコシ、コーヒー、ヒマワリ油、パスタ、イワシ、オリーブオイル、ビスケットの関税を撤廃すると以前発表していたが、今回その詳細が明らかになった。
外務貿易審議会(Camex)は全会一致で、牛肉(骨なし)の輸入関税を10.8%から0%に引き下げる決定を承認。また、コーヒーについては、9%の関税が撤廃され、「焙煎済みの非脱カフェインコーヒー」と「生豆の非脱カフェインコーヒー」が無税で輸入できるようになる。