
ブラジルは現在、軍事用に7種類の偵察用ドローンを運用しているが、攻撃用ドローンは保有していない。だが既存の国産ドローンを攻撃用に改造し、2027年11月までに導入する計画が進行中だ。この計画は二つの企業との協力により実施され、今年から始まる運用テストを経て、ブラジル陸軍の装備に組み込まれる予定だ。ブラジルの軍事用ドローン事情について13日付G1(1)が報じている。
ブラジルで使用されているドローンのモデルは国産2種、イスラエル製2種、中国製2種、そして米国製1種だ。中でもイスラエル製「エルメス900」は、24年5月に発生したリオ・グランデ・ど・スル州の大水害の際、ブラジル空軍(FAB)が救助者の位置特定に使用し、大きな成果を上げた。
ブラジル製「ナウル1000C」は、現在陸軍によって偵察用として使用されているが、ミサイルを搭載することができる装置を備えている。この改造計画が進められることで、攻撃用ドローンを所有する54カ国にブラジルも加わることになる。中南米では、攻撃用を保持しているのはベネズエラのみで、そのモデルはイラン製の「モハジャー」だ。イランはこの種の装備品の最大の供給国の一つとされている。
フルミネンセ連邦大学(UFF)戦略研究・国際関係学部のヴィテリオ・ブルストリン教授は、ドローンの有用性について「現在、偵察用ドローンの開発が加速しており、その主な目的は敵軍の部隊や基地の位置を探り、大砲やミサイルシステムがより高精度で標的を攻撃できるようにすることだ。この場合ドローンが小型であることが有利に働き、発見されて撃墜されるのを防げる」と説明した。軍が運用している7種類のドローンは、いずれも戦闘機に対して目標指示を行う「射撃誘導」としても機能する。
一方、ESPM大学の国際関係学教授であるグンテル・ルズズィチ氏は、攻撃用ドローンの時代においてブラジルは後れを取っているとし、国内には攻撃用ドローンを開発する能力を持つ複数の企業が存在するが、政府の支援と指導が不足していると指摘。
同氏は「ブラジル軍の改革が実現し、軍備購入のために一定の予算が確保される体制が整わなければ、産業は前進しない。軍関係者は、すべてが円滑に機能するためには、GDPの2%を軍事予算に充てる必要があると言っている。新たな軍備調達には最低でも予算の30%を投じることが求められるが、予算を増加させただけでは不十分であり、効率的な管理と改革を実行しなければ、持続可能な発展には繋がらない」と強調した。