
ロシアのプーチン大統領は13日、ウクライナとの停戦案についてコメントする中で、ブラジルのルーラ大統領をはじめ、BRICS諸国の指導者らによる支援について言及し、和平に向けた取り組みに対して感謝の言葉を述べた。同日付G1など(1)(2)が報じた。
プーチン大統領は「我々は各々に国内問題を抱えているが、多くの国の指導者、特に中国の国家主席、インドの首相、ブラジルの大統領、そして南アフリカの大統領が、この問題に真摯に取り組んでおり、非常に多くの時間を割いている」と述べ、「我々は皆、彼らの尽力に感謝している。なぜなら、彼らの取り組みは高尚な使命、つまり敵対行為を終わらせ、人命を救うことを目指しているからだ」と強調した。
この発言は、モスクワで行われたベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領との共同記者会見の中でなされた。昨年10月、ロシアのカザンで行われたBRICS首脳会議で、ブラジルと中国が共同で策定した和平案が推進されたが、実現には至らなかった。同案には、戦闘の拡大防止や、双方の戦争の影響を受けた人々への人道支援増強、関連するすべての当事者が平等に参加する国際的な平和会議の開催などが含まれていた。
発表当初、プーチン氏はこの提案を評価したものの、ウクライナのゼレンスキー大統領はこれを拒否し、「具体的な行動やステップが見当たらず、単なる手続きの一般化に過ぎない」と述べた。ゼレンスキー氏は当時、ルーラ大統領の和平への取り組みを批判していた。
同会見でプーチン氏はトランプ米大統領に対しても、ウクライナとの問題解決に強い関心を寄せたことに謝意を表明した上で、30日間の停戦案については同意を示しつつも、提案者である米国との詳細な調整が必要だと条件を付けた。
プーチン氏は記者団に対し、「我々は敵対行為を停止する提案に賛成だが、この停止は恒久的な平和に繋がり、この危機の元凶を排除するものでなければならない」と述べ、「なぜ30日間が必要なのか。それはウクライナへの兵器供給や動員のためか。誰が停戦命令を出すのか。また誰が監視するのか。戦線は2千キロメートルにも及ぶ」と疑問点を列挙、「すべての問題は双方で慎重に議論されなければならない」と強調した。
プーチン氏は前日の12日に激戦地クルスク州を訪れ、ウクライナからの領土奪還を加速するようロシア軍に指示を出していた。ロシアは停戦には具体的な保証が必要であり、特にウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻止し、ロシアが獲得した領土を放棄することはないと強調した。ロシアは迅速に和平交渉を有利に進めるために、クルスク州を含む領土の回復を目指している。
一方、ゼレンスキー氏は同日夜、プーチン氏の停戦提案に対する反応を「謀略的だ」と評価。「ロシアから聞こえてくるのは非常に予測可能で謀略的なプーチンの言葉だ」と述べた。ゼレンスキー氏は停戦のアイデアについて、モスクワがそれを不可能な前提条件付きで承認することで「何も実現できなくなり、さらなる戦争の延長を招く」と述べた。