
3月17日、リオデジャネイロ州立大学の礼拝堂で、東京外国語大学(TUFS)とリオデジャネイロ州立大学(UERJ)のダブルディグリープログラム(複数学位取得制度)の発表、調印式が行われた。ダブルディグリープログラムとは、各大学に通う学部生の中で毎年3人が選抜され、両大学の単位を取得し両大学の学士号を取得できるというもの。学術的な交流だけでなく、2つの国を結ぶ国際的人材を育てる目的もあり、今年から開始される。
この調印式のために日本から来伯した東京外国語大学の林佳世子学長によると、同大学の学部レベルでは英国、オーストラリアに次ぐ3校目のダブルディグリープログラムの調印となり、英語圏以外では初だ。今後世界の様々な国や言語の大学と同プログラムを調印する足掛かりとなる重要なモデルケースになるとのこと。
「両大学には25年にわたる長い連携の歴史があり、大学間の交換留学生も総数200名を超え、2016年のリオオリンピックでは24名の学生が、通訳ボランティアとして選手団に帯同するなど交流も活発で多岐に渡る。学位交換プログラムは英語圏以外では難しかったが、絶え間ない交流の実績と6年にわたる両大学の先生、スタッフの尽力により今回の調印が可能となった」と嬉しそうに語った。
調印式には、東京外国語大学の教授であり、ブラジル連邦共和国のリオ・ブランコ国家勲章コメンダドール位(外交分野などで顕著な功績がある人物にブラジル政府から贈られる最高勲章の一つ)を昨年授与された武田千香教授も参加。「ダブルディグリープログラムは、日本に暮らすブラジル人の子供たちにも大きなチャンスと希望になる」と語った。
在日ブラジル人の子供達は言葉の壁や目的が見出せず高校以降の進学を諦めてしまうことが課題となっているが、本プログラムは子供達が日本でもブラジルでも学位を持ってキャリアを積み上げられる好機となり、未来の選択肢を広げるロールモデルになりうると、その可能性の大きさに期待を示した。