【19日の市況】ブラジル中銀、政策金利を14.25%に引き上げ 次回の調整は小幅か=Ibovespaは0.79%高の132,508.45ポイント=ドルが7日連続で下落して0.43%安の5.647レアル

 ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)は19日(水)、市場の予想通り政策金利(Selic)を1.0ポイント引き上げ、年14.25%とすることを決定した。これで3回連続の1.0ポイント引き上げとなり、昨年9月から続く利上げサイクルの一環となる。決定は全会一致で採択された。
 この結果、Selicは2015年7月末から2016年10月にかけての水準と並び、経済・政治危機の時期と同じ水準となった。もし次回会合でさらなる利上げが実施されれば、ほぼ20年ぶりの高水準に達することになる。
 Copomは声明の中で、「インフレ期待のさらなる悪化、高水準のインフレ予測、堅調な経済活動、労働市場の圧力により、より引き締め的な金融政策が必要」との認識を示した。また、現在の状況を踏まえ、「次回会合では小幅な調整を想定している」とした。
 今後の金融政策については、「インフレ目標達成に向けた強い決意に基づき、インフレ動向や経済状況の変化に応じて、必要に応じた追加措置を講じる」と強調した。

インフレ予測の変化

 2025年のインフレ率(IPCA)は5.1%と、1月時点の5.2%からわずかに低下。自由価格のインフレ率は5.4%(前回5.2%)に上方修正された一方、行政管理価格は4.3%(前回5.2%)に下方修正された。
 2026年第3四半期のインフレ率見通しは3.9%(前回4.0%)とやや低下した。自由価格は3.8%で変わらず、行政管理価格は4.2%(前回4.6%)に引き下げられた。
Ibovespa、7カ月ぶりの6日続伸 13万2500ポイントに迫る

 ブラジル株式市場の代表的な株価指数であるIbovespaは、19日(水)に前日比0.79%高の132,508.45ポイントで取引を終え、昨年10月2日以来の高値を記録した。日中の高値は132,984.25ポイント、安値は131,450.67ポイントだった。
 この日の上昇の背景には、ジュエリーブランドVivara(VIVA3)の好決算があり、同社の株価は急騰。さらに、米国連邦準備制度理事会(FRB)が予想通り政策金利を4.25~4.50%に据え置き、年内に2回の利下げを示唆したことも投資家心理を後押しした。

為替市場と金利動向

 外国為替市場では、ドルが7日連続で下落し、対レアルで0.43%安の1ドル=5.647レアルとなった。金利先物市場(DI)では、利回りが全般的に低下し、投資家のリスク選好が強まった。

米FRB、政策金利を据え置き

 FRBの決定に注目が集まる中、同理事会は市場予想通り政策金利を据え置き、年内に2回の利下げを示唆した。しかし、トランプ政権の通商政策がインフレに与える影響に対する不透明感が残り、FRBは慎重な姿勢を維持している。
 C6銀行のエコノミスト、クラウディア・ロドリゲス氏は「米国政府の通商政策が経済活動に与える影響が不透明なため、FRBは今後も慎重な姿勢を続けるだろう」と指摘。また、Ciano Investimentosのリスクディレクター、プリニオ・ザニーニ氏は「インフレ懸念が根強く、FRBは利下げに慎重な姿勢を崩さないだろう」と分析した。

国内財政への懸念は続く

 ブラジル国内では財政状況に対する懸念が続く。政府は歳出削減に取り組む一方で、議会では「秘密予算」の復活に向けた法案が可決された。
 一方、2025年の財政赤字予測は800億レアルから750億レアルに引き下げられたものの、ルーラ大統領の支持率低下が続いており、市場はこの動向を好意的に受け止めている。

主要銘柄の動向

 個別銘柄では、鉄鉱石価格の下落を受けてヴァーレ(VALE3)が0.17%安。ペトロブラス(PETR4)は原油価格の上昇にもかかわらず、0.08%安と不安定な動きを見せた。一方、ブラデスコ(BBDC4)は0.89%高と銀行株が堅調。取引所運営会社B3(B3SA3)も2.57%高と上昇した。
 また、小売大手カーザス・バイーア(BHIA3)は驚異の29.30%高を記録し、3月の上昇率は166%超となった。
 今後の市場は、ブラジル中央銀行の金利政策の行方に注目が集まる。果たしてSelicはさらに上昇するのか、それとも調整局面を迎えるのか、引き続き金融市場の動向が注視される。

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