ブラジルの主要株価指数であるIbovespaは、6日連続の上昇を終え、0.42%安の131,954.90ポイント(前日比-553.55ポイント)で取引を終えた。同時に、ドル相場も7日続落後に反発し、0.50%高の1ドル=5.676レアルとなった。ブラジル中央銀行(BC)が市場介入を行ったものの、上昇を抑えることはできなかった。また、債券市場ではDI(通貨スワップ金利)が全期間で上昇した。
市場の関心は、ブラジル中央銀行(Copom)が政策金利(Selic)を1.00ポイント引き上げる決定を下したことに集中していた。この利上げは市場予想通りだったものの、注目されたのは、今後の金融政策に関する声明の内容だった。そして、その内容は予想以上にタカ派的(引き締め志向)だった。
Copomのタカ派姿勢、市場に影響
SulAmérica Investimentosのチーフエコノミスト、ナタリー・ヴィクタル氏は、「Copomは、次回の会合で利上げ幅を縮小すると明言しました。データ次第というより、引き締め継続の姿勢が強く打ち出された点で、私の予想よりもタカ派的でした」と指摘する。また、BCは経済成長について「わずかに減速の兆しが見られる」と表現し、その中でも「わずかに(incipiente)」という言葉を強調したことが慎重な姿勢を示していると分析した。
Banco Daycovalのチーフエコノミスト、ラファエル・カルドーゾ氏も「BCは次の利上げを明言しないだろうと見ていたが、実際にはさらなる利上げの可能性を示唆しました。少なくともあと1回の利上げは確実であり、その後も追加の利上げがあり得る」と述べた。ただし、最終的な政策金利水準(Selic terminal)については、市場の見方が分かれている。
一方、ブラジル財務相のフェルナンド・ハダジ氏は、「中央銀行のトップ(ガブリエル・ガリーポロ総裁代行)を責めることはできない。金融政策の大転換(カーヴァロ・デ・パウ:急旋回)は不可能だ」と述べつつ、「インフレ抑制のために景気後退は必ずしも必要ではない」との見解を示した。
米国市場:FRBの動向と関税問題に不透明感
米国市場では、投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の金融政策とトランプ政権時代の関税措置の行方を見極めようとしていた。FRB議長のジェローム・パウエル氏は「利下げを急ぐ必要はない。市場の不確実性が解消されるまで待つべきだ」と発言。しかし、ドナルド・トランプ前大統領は「関税が効果を発揮する前に利下げをするべきだ」と主張している。さらに、欧州連合(EU)は米国の関税政策に対する報復措置を延期することを決定した。
こうした状況を受け、市場の不透明感が増し、米主要株価指数は下落した。
Ibovespa:金融株が下落、食肉関連株が上昇
個別銘柄では、食肉関連株が大幅高となった。JBS(JBSS3)が4.27%、Minerva(BEEF3)が8.41%、Marfrig(MRFG3)が6.70%と揃って上昇した。Minervaは第4四半期(4T24)に巨額の損失を計上したにもかかわらず買われた。
一方、ブラジル証券取引所(B3SA3)は0.40%高と2日続伸したが、銀行株全般が下落。特に、イタウ・ウニバンコ(ITUB4)は0.93%安と、取引量の多い銘柄の中でも大きめの下げとなった。
Hapvida(HAPV3)は第4四半期の決算発表後に0.44%下落し、債務再編契約の締結も影響した。
資源株では、鉄鉱石大手ヴァーレ(VALE3)が0.31%安、国営石油会社ペトロブラス(PETR4)は0.22%高と小幅な動きとなった。航空機メーカーのエンブラエル(EMBR3)は6.72%安と大きく下落した。化粧品大手のナトゥーラ(NTCO3)も2.43%安と続落し、年初来では25%以上の下落となっている。
週末の展望:一時的な落ち着きも、引き続き注視が必要
木曜日(16日)までの激動の相場を経て、金曜日(21日)は比較的落ち着いた展開が予想される。経済指標の発表スケジュールはほぼなく、2025年度予算案の審議が進む中、大きな市場の波乱要因は少ない。しかし、市場が完全に落ち着くとは限らず、引き続き慎重な姿勢が求められる。
ドル相場:7日続落後に反発、Copomの決定と海外要因が影響
Copom、3回連続で1ポイントの利上げを実施
木曜日(16日)の外国為替市場で、ドルは対ブラジルレアルで上昇し、1ドル=5.6763レアル(前日比0.49%高)で取引を終えた。前日には5カ月ぶりの安値をつけていたが、反発に転じた。
ドル高の要因としては、Copomが3回連続で1.00ポイントの利上げを実施し、引き締め的なスタンスを強めたことが挙げられる。市場では利上げペースが鈍化するとの見方が広がっていたが、Copomの声明が「ややタカ派的(marginalmente mais hawkish)」だったことで、金利先高観が強まり、ドル買いにつながった。
また、ブラジル財務省が実施した固定金利国債の入札も影響した。高金利が外国人投資家を引きつけたものの、ドル需要の高まりがレアル安を招いた。
さらに、米国市場ではFRBが「利下げを急がない」との姿勢を示したことで、米ドルが対主要通貨で上昇。これに伴い、ブラジル市場でもドル買いが進んだ。
加えて、最近の7日連続のドル安を受け、短期的な調整として買い戻しが入ったことも影響した。