
アチバイア福島県人会会長並びにブラジル福島県人会アチバイア支部長を務めた乾敏雄さん(2世)が19日、椎間板ヘルニアの手術の後、病状が悪化して亡くなった。行年81歳。
乾さんは乾家3兄弟(光勝、実、光)の実夫妻の次男として1944年9月2日に生れた。この3兄弟は、東白河郡棚倉町出身で1934年8月31日、モンテビデオ丸にて他の構成家族の一員として移住した。
この3兄弟のうち兄の光勝氏は唯一の既婚者で、幼子1人を連れて移住。敏雄さんの父の実さん、弟の光さんは移住後に結婚した。この3兄弟は後に「乾王国」と呼ばれるほどの隆盛を築く。1997年のブラジル福島県人会創立80周年記念式典に臨席した松平勇雄福島県知事(当時)は乾果樹園を訪れている。
実さん一家は敏雄さんの兄の隆一さんを筆頭に男5人、女6人の子宝に恵まれ11人の兄弟姉妹の大所帯を築く。末子の故乾マリオさんは数年前にアチバイア市の副市長を務めている。現在健在なのは6人のみ。
敏雄さんはアチバイア地区で生まれ育ち、「乾農園」を経営。主に、ブドウ、桃、リンゴ、アメイシャ、バラの大規模栽培で生活基盤を築く。その傍ら、アチバイア福島県人会の親睦と発展に寄与する。特に大型櫓を組んだ「相馬盆踊り大会」の開催、運営からは並みならぬ熱意が伺われた。
これらはアチバイア恒例の「イチゴ花祭り」のメイン会場で催され、市のメイン行事の一つとしての重責を十分に果たしている。敏雄さんの最後の櫓での太鼓裁きが披露されたのは昨年10月末の「花とイチゴ花祭り」でだった。ねじり鉢巻き姿で太鼓を叩く勇姿が見られないと思うと寂しい限りである。(ブラジル福島県人会事務局、渡辺三男記)