本日、ブラジルの株式市場Ibovespaは厳しい一日となった。主要株価指数は0.77%安の131,321.44ポイントで取引を終え、1,023.44ポイントの大幅な下落を記録した。
為替市場でもドルが対レアルで0.61%上昇し、R$5.752に到達。金利先物(DI)市場も全面的に利回りが上昇するなど、ブラジル市場は全体的に厳しい展開となった。
しかし、この苦境は国内特有のものだった。米国市場では投資家が買いを進め、主要株価指数が大幅に上昇。特にナスダックは2%以上の上昇を記録した。背景には、ドナルド・トランプ米大統領が関税の緩和を示唆するニュースが流れたことがある。
トランプと関税問題
再び市場の動きを左右するのは「関税」だ。今回の関税に関する報道が投資家心理を大きく改善させたものの、トランプ氏は自動車、アルミ、医薬品への新たな関税措置を近く発表すると明言。また、ベネズエラから石油・ガスを購入する国に対して25%の関税を課す可能性も示唆した。
「関税を巡る懸念が若干和らぎ、市場環境は大きく改善しています。リスク要因としては、関税の報復措置がエスカレートする可能性が常にありましたが、もし政府がより戦略的かつ限定的な関税政策を打ち出すなら、全面的な貿易戦争に発展するリスクは軽減されるでしょう」
(アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資戦略家、チャーリー・リプリー氏 / CNBC)
ブラジル、日本、食料インフレと財政枠組み
しかし、米国市場の好調さはブラジルにはほとんど波及しなかった。財務相のフェルナンド・ハダジ氏は「財政の枠組みに対する信頼を再確認しながらも、依然として政府機構の調整が必要」と発言。
一方、大統領のルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ氏は日本を訪問中。同行するのは、下院議長のウーゴ・モッタ氏、上院議長のダビ・アルコルンブレ氏、元下院議長のアルトゥール・リラ氏、元上院議長のホドリゴ・パシェコ氏など、政界の重鎮たちだ。
大統領不在の中、現在のブラジル大統領代行であるジェラウド・アルキミン氏は「食料インフレ対策としての利上げは効果がない」と利上げを批判。ハダジ財務相は「収穫期、為替、地政学的リスクの影響で、インフレに良いサプライズがあるかもしれない」と一定の楽観論も示した。
中央銀行が発表した市場予測レポート「Boletim Focus」では、インフレ率とドルの見通しが下方修正されたが、2025年のGDP成長率予測も引き下げられた。
ブラジル市場:Vale、Petrobrasも下落
市場全体の落ち込みを受け、鉄鉱石価格の上昇にもかかわらずVale(VALE3)は0.52%下落。また、国際原油価格が上昇したにもかかわらず、Petrobras(PETR4)は0.14%下落した。さらに、大手銀行がPetrobrasの目標株価を引き下げたことも影響した。
また、航空機メーカーのEmbraer(EMBR3)は利益確定の売りに押され4.70%下落。証券取引所を運営するB3(B3SA3)も3日続伸後に1.27%下落した。食肉加工大手のJBS(JBSS3)は米国上場計画を控えている影響もあり、2.01%下落した。
唯一、Bradesco(BBDC4)は1.04%上昇し、同業他社とは逆の動き。また、指標外の企業では、Americanas(AMER3)が18.19%、Casas Bahia(BAHI3)が2.88%上昇するなど、一部の銘柄には明るい動きも見られた。
明日は、ブラジル中央銀行の金融政策決定会合(Copom)の議事録公表、米国の住宅市場データ発表が予定されている。市場関係者は「甘い火曜日」を期待している。
ドル、3日連続上昇でR$5.75に
ハダジ氏の発言と米国の関税政策への警戒感が影響
月曜日、ドルは3日連続で上昇し、0.65%高のR$5.7528で取引を終えた。直近3営業日での上昇率は1.84%。それでも、年初来では6.90%の下落となっている。
今回のドル高の要因として、ハダジ財務相の発言による市場の混乱や、米国が今後の関税政策をどう進めるかへの不透明感が挙げられる。投資家は慎重に今後の動向を見守っている。
「ルーラの融資」発言で対立、Novo党がTCUに申し立て
グレイシ・ホフマン氏が「政府の公正性を損なった」と批判受ける
野党「Novo党」は24日、連邦会計検査院(TCU)に対し、グレイシ・ホフマン大統領府渉外室長官が「ルーラの融資(Empréstimo do Lula)」と称して政府の信用貸付プログラムを宣伝した件について、正式な異議申し立てを行った。
同党は「ホフマン大臣の発言は政府広報の公平性を欠くものであり、公務員による個人の政治的利益を目的とした宣伝活動に当たる」と指摘。さらに、「2026年の大統領選挙に向けた早期選挙運動にも見える」として批判を強めた。
ホフマン氏は、Instagramに投稿した動画で「予算が厳しい?金利が高い?ルーラの融資を利用しよう!」と発言。この投稿が波紋を呼び、後に削除された。
Novo党のアドリアナ・ヴェントゥーラ下院議員は「憲法では、政府広報は公共の利益に資するべきであり、個人の政治的利益を促進するものではない」と指摘。党はTCUのヴィタル・ド・レーゴ長官に対し、「ルーラの融資」という表現の使用を禁止する措置を求めた。