ブラジル株式市場の主要指数であるIbovespaは、26日、前日比0.57%高の132,067.69ポイントで取引を終えた(+746.25ポイント)。日中最高値では133,471.08ポイントを記録し、昨年10月以来約6カ月ぶりに133,000ポイント台を回復する場面もあったが、最終的には一部の利益を吐き出した。それでも、堅調な上昇を維持した。
為替市場では、米ドルが対レアルで0.75%下落し、1ドル=5.709レアルとなった。一方で、DI(将来金利指標)は全体的に上昇基調となった。
外国人投資家の動向
Empiricus Researchのアナリスト、マテウス・スピエス氏によると、Ibovespaの上昇要因の一つは「ローテーション取引」にあるという。これは、投資家がニューヨーク市場などの外国株からブラジル株へ資金を移す動きだ。
「米国市場は前日に上昇していたが、今日の取引は落ち着いた。投資資金が流入・流出するダイナミクスが働いている。ブラジル国内では、金融引き締めの終了が見えてきたことが好感され、利下げ期待が高まっている」と同氏は分析する。
米国市場では、2月の住宅市場が堅調だった一方、3月の消費者信頼感指数が低下し、消費意欲の鈍化が示唆された。また、トランプ政権が中国船舶に対する新たな関税を発表したことで、「貿易戦争再燃」の懸念が広がった。
Copom議事録発表
ブラジル国内では、消費者信頼感指数が3カ月ぶりに回復したことが好材料となった。これに加え、ブラジル中央銀行(Copom)の最新議事録が「タカ派的」と受け止められ、投資家の関心を集めた。
XPインベストメンツによると、「議事録は前回の声明と同様に警戒感を示し、さらなる金融引き締めの必要性を強調している。同時に、『しばらく様子を見る』段階が近づいていることも示唆している」とのことだ。
また、財務大臣フェルナンド・ハダジ氏が「税制改革への取り組みは継続する」と発言したほか、計画・予算大臣シモーネ・テベチ氏は「ブラジル経済は予想を上回る成長を遂げるだろう」との見解を示した。
ルーラ大統領は日本、ボルソナロ氏はSTFへ
ルーラ大統領は現在、日本を訪問しており、随行する下院議長のウーゴ・モッタ氏は「新市場開拓がブラジルの産業と経済を強化する」とコメントした。
一方、政治の話題では、連邦最高裁(STF)での審理が注目を集めている。前大統領ジャイル・ボルソナロ氏とその側近が「クーデター未遂」などの罪で起訴される可能性があり、翌年の大統領選に影響を及ぼすかもしれない。
Vamos株が急騰、ペトロブラスも上昇
株式市場では、個別銘柄の動きが目立った。最も注目されたのは、商用車レンタル大手のVamos(VAMO3)で、2024年第4四半期決算が好感され15.62%の急騰を記録した。この上昇は、他のレンタル関連銘柄にも波及し、Localiza(RENT3)は2.15%上昇した。
水道会社のSabesp(SBSP3)も、第4四半期の純利益が前年同期比21%増加し、株価は3.34%上昇した。
小売業界も堅調だった。マガジン・ルイザ(MGLU3)は2.45%、ロハス・ヘンネル(LREN3)は2.51%上昇。さらに、カザス・バイーア(BHIA3)は17.62%の大幅高を記録し、3月の上昇率は累計で265%に達した。
大型銘柄では、ヴァーレ(VALE3)は小幅高(+0.33%)にとどまったが、ペトロブラス(PETR4)は0.79%上昇。国際原油市場が安定し、ウクライナ周辺の海上物流における合意が影響した。銀行セクターも堅調で、ブラデスコ(BBDC4)は1.66%上昇した。
INSSの給与担保ローン、金利上限1.85%に引き上げ
政府は、社会保障年金(INSS)受給者向け給与担保ローンの金利上限を1.80%から1.85%に引き上げることを決定した。この新上限は、官報掲載から5営業日後に適用される。
銀行業界は、利益確保のため1.99%への引き上げを要求していたが、政府はこれを認めず、1.85%で合意した。
ドルは0.75%下落、R$5.70で取引終了
為替市場では、米ドルが対レアルで0.75%下落し、R$5.709で取引を終えた。この下落は、Copom議事録の公表、米国の関税政策、そしてブラジル財務相ハダジ氏の発言を受けたものとみられる。
米国市場では、トランプ前大統領が「近く自動車、鉄鋼、アルミニウム、製薬品に対する新たな関税を発表する」と発言し、貿易摩擦の激化が懸念されている。
今後の市場見通し
翌27日の経済指標は比較的少なく、市場は落ち着いた展開が予想される。ただし、外国からの資金流入が続けば、引き続き堅調な動きを維持する可能性がある。