3月25日街が160周年祝う=一世紀続くアラブ系商店の伝統

3月25日街(Foto: Paulo Pinto / Fotos Públicas)
3月25日街(Foto: Paulo Pinto / Fotos Públicas)

 国内で最も有名なショッピング・ストリートであるサンパウロ市の3月25日街(Rua 25 de Março)が今年、160周年を迎えた。ラ米最大の屋外商業街と称されるこの通りだが、近年のネットショッピングの普及や、地域の治安悪化などが影響し、活気が徐々に薄れつつある。だがアラブ系移民子孫らが営む商店は、こうした変化の中でも依然として強い存在感を放ち、その商業活動の進化が注目されていると、25日付アジェンシア・デ・ノチシアス・ブラジル・アラベ(1)(2)(3)などが報じた。
 この通りの名称は、ブラジル帝国のドン・ペドロ1世が1824年3月25日にブラジル初の憲法に署名した日を記念して、1865年に名付けられた。19世紀末、この地域はタマンドゥアテイ川の氾濫原に位置しており、土地が非常に安価で住民が避ける場所とされていた。
 その地にシリア人、レバノン人などの移民が流入したことを契機に、商業の中心地として急速に発展を遂げた。市の中心部に位置し、今では市営市場やサンベント広場、アニャンガバウ谷、セー広場などの観光地に近接する、市の重要な地理的・文化的拠点となっている。
 アラブ系商人の子孫が営む店舗は、160年の歴史の中で時代の変化に柔軟に対応し、地域経済を牽引して地元の商業文化に多大な影響を与えてきた。
 手芸用品店「レイ・ド・アルマリーニョ」のピエーレ・サルーフ氏は、家業を引き継いで以来、時代の変化に対応した柔軟な商業戦略を打ち出してきた。インターネット販売の導入に加え、従来の手芸材料に加えて、近年ではフィットネス用品やクリスマス関連商品なども取り扱い、その品揃えを多様化している。
 一方で、同じく手芸用品を扱う「アルマリーニョ・アンバール」のエリアス・アンバール氏も、伝統的な卸売業を継承しつつ、時代に即した新たな取り組みを行っている。ネットショップの開設をはじめ、オンライン販売に積極的に取り組み、かつての主力であった卸売り業務に加え、小売業へとシフトした。
 これらの店舗は、単なる商売の場を超え、地域社会との絆を強化する重要な役割も担っている。サルーフ氏は「我々の商店は、家族の歴史とともに地域に根ざしており、伝統を守りながらも時代に適応し続けていく」と語り、今後も地元社会への貢献を続ける意向を示している。
 ブラジルでは、この通りの名前と歴史的重要性から、3月25日は「アラブ系コミュニティーの日」として盛大に祝われており、地域におけるアラブ系の貢献と文化の重要性が改めて認識されている。代表的なアラブ系商店の例は次の通り。
■Doural(創業130年)1895年にシリアから移住したアサド・アブダラさんが創業。現在も同じ家族によって経営されており、他の支店も展開。創業当初はカーペットやカーテンの販売を行っていたが、現在ではインテリア全般を扱い、高い評価を得ている。所在地:3月25日街595番
■Niazi Chohfi(創業95年)シリア人のニアジ・チョフィさんが1930年に創業。繊維製品を中心に扱い、現在もブラジル全土で市場をリードしている。時代の変遷とともに、取り扱い商品を拡充し、家庭用品を幅広く提供している。所在地:3月25日街607番
■Armarinho Âmbar(創業72年)1953年にレバノン出身のジョルジュ・アンバーさんが創立。彼は1948年にブラジルに渡って行商人として働いた後、1953年に最初の店舗を開業。当初はアニャンガバウ谷付近に店を構えていたが、度重なる洪水の影響で3月25日街へ移転。所在地:3月25日街786番。

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