日伯首脳会談=両首脳2年ごとに相互訪問で合意=戦略的グローバル提携行動計画発表= 協力プロジェクト80案件署名

笑顔でガッチリと手を握るルーラ大統領と石破総理(Ricardo Stuckert/PR)

 外務省プレスリリースによれば、石破茂総理は26日午後6時5分から約95分間、迎賓館において、国賓として来日中のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と首脳会談を行った。約45分間の小グループ会議から始まり、その後約50分間の拡大会議が続いた。会談後、両首脳は「日伯戦略的グローバルパートナーシップ行動計画(2025~2030年)」などの協力文書の発表に立ち会い、共同記者会見を行った。

 まず石破総理が、外交関係樹立130周年「日伯友好交流年」という記念すべき年に、新型コロナウイルス感染症流行後初の国賓としてルーラ大統領を日本に迎えることができ光栄である旨述べた。ルーラ大統領は、日本訪問時の温かい歓迎と昨年ブラジルが議長国を務めたG20における日本の協力に感謝の意を表した。

石破茂首相との二国間会談に臨むルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(赤坂御用地「花鳥の間」にて、Ricardo Stuckert/PR)

 両首脳は「戦略的かつグローバルなパートナー」としての日伯関係を一層強化するため、2年ごとに相互に訪問し会談を行うことで合意した。
 外交政策と安全保障に関して両首脳は、国連安全保障理事会創設80周年となる今年、国連安全保障理事会の改革について、具体的な進展を図るため、G4として引き続き連携していくことを確認した。
 両首脳は、ウクライナ情勢、中東情勢、東アジア情勢を含む国際情勢について意見交換を行った。石破総理は、力や威圧によって現状を一方的に変更しようとする試みは世界のどこにおいても容認されるべきではないと述べた。北朝鮮による拉致問題の早期解決に向けて引き続き理解と協力を求めた。両首脳は地域情勢について引き続き緊密に意思疎通していくことで一致した。

署名された80案件の協力プロジェクト(Ricardo Stuckert/PR)

 経済、貿易、投資に関して両首脳は、日本とブラジル間の貿易・投資関係を一層強化し、経済関係をより高いレベルに引き上げていくことを確認した。石破総理は、伯国ビジネスミッションの100人を超える訪問と、官民合わせて約80件の協力プロジェクトの発表を歓迎した。また、税制改革やインフラ整備などビジネス環境の改善に向けたルーラ大統領の取組は、日本企業の投資拡大にとって極めて重要であり、ルーラ大統領のリーダーシップによりこれらの取組が推進されることを期待する旨を述べた。
 さらに、日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組みを早期に立ち上げ、貿易関係の深化に向けた議論を進めることを確認した。
 両首脳は設立30周年を迎える世界貿易機関(WTO)を中核とする国際貿易体制の重要性を確認し、日本とブラジルが協力してこれを守っていくことで一致した。
 環境と気候変動に関して石破総理は、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)の議長国であるブラジルに協力していく決意を表明した。
 石破総理は、昨年立ち上げた日ブラジルグリーン・パートナーシップ・イニシアティブ(GPI)の下、日本の新たな協力アプローチである「共通課題のための共創イニシアティブ」も活用し、アマゾンの荒廃した牧草地の再生や違法な森林伐採との闘いに焦点を当てた協力を推進していく旨を述べた。ルーラ大統領は日本の協力に感謝の意を表し、アマゾンの保護と気候変動対策のためにさらに協力していく意向を示した。

拡大会議の様子(Ricardo Stuckert/PR)

 両首脳は、昨年立ち上げた持続可能な燃料とモビリティのためのイニシアティブ(ISFM)の下、日本とブラジルが両国の強みを生かし、世界の自動車分野の脱炭素化を主導していくことを確認した。
 石破総理はブラジルに対し、GREENxEXPO2027への参加招待をした。人間交流に関して、石破総理は2025年大阪・関西万博へのブラジルの参加に謝意を表し、両首脳は万博の推進に協力することで一致した。

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