ルーラ訪問で牛肉輸入解禁=急拡大するベトナムとの貿易

ベトナムのルオン・クオン国家主席(右)とルーラ大統領(左)(Foto: CanalGOV/Reprodução)
ベトナムのルオン・クオン国家主席(右)とルーラ大統領(左)(Foto: CanalGOV/Reprodução)

 日本での国賓訪問を終えた後、ベトナムを公式訪問したルーラ大統領は28日、両国間の戦略的パートナーシップを強化するための行動計画に署名した。この計画には防衛、経済、貿易、投資、農業、科学技術、環境、エネルギー転換などの分野が含まれ、2025〜30年における協力拡大を目指している。ルーラ大統領はベトナムとの貿易と投資の流れを拡大する意向を示し、ブラジル産牛肉のベトナム市場への輸出解禁も発表したと同日付フォールン誌など(1)(2)(3)(4)が報じた。
 ルーラ氏は首都ホーチミンでルオン・クオン国家主席、チャン・タイン・マン国会議長、トー・ラム共産党書記長、ファム・ミン・チン首相という政治体制の4本柱の指導者たちとの一連の会談を行った。
 会談では行動計画のみにとどまらず、二つの協定および二つの覚書の署名も行われた。これらの協定は外交使節団、総領事館、国際機関常駐代表部の家族が報酬を得る活動を行うことを可能にするのに加え、機密情報の交換と保護に関する方針を定めるものだ。
 ルーラ氏はさらに「教育と科学技術の協力ほど、二つの新興国の未来にとって戦略的な協力はない。間もなく、両国の大学は教授や学生の交換を促進できるだろう。我々は半導体、人工知能、デジタル技術、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなどの分野でのパートナーシップを検討している」と述べた。
 経済およびスポーツ協力の分野では、両国は、産業および商業の発展を担当する省庁間の理解覚書に署名した他、サッカーにおけるパートナーシップを促進するための覚書も署名された。
 ブラジル産牛肉の解禁に関し、ルーラ大統領は「ブラジルの食肉加工業者の投資を呼び込み、ベトナムを東南アジア向けの輸出拠点にする」と語った。ブラジル政府によれば、ベトナム人は、ブラジル人があまり消費しない牛肉部位を好むため、それがブラジル内市場における供給過多や需要のバランスを調整できる可能性があるという。
 気候変動によるコーヒー収穫への影響を踏まえ、ルーラ氏はベトナムに対し、より強靭な作物を開発するための研究協力を提案した。
 ルーラ氏は2025年後半にメルコスル議長国を務める際に、ベトナムとの協定締結に向けた取り組みを示す意向を明かした。
 今回のベトナム訪問はブラジルの東南アジアにおける影響力を強化し、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係深化を図るものと位置付けられている。07年の前回訪問以来、両国の商業関係は大きく成長した。08年の5億3400万ドルから、24年には貿易額が77億ドルに達する見込みで、これは過去最高となる。目標は、30年までに貿易額を150億ドルに引き上げることだ。
 ベトナムはASEAN諸国の中でブラジルへの主要な供給国として位置づけられており、ブラジル向けの世界の主要供給国の中で14位にランクインしている。一方、ブラジルはポルトガル、英国、フランス、パラグアイよりもベトナムへの輸出を多く行っており、ベトナムはブラジルの農業製品にとって5番目の大きな市場。ブラジルは、ベトナムの大豆輸入の約70%を占め、豚肉、鶏肉、綿花の第2の主要供給国でもある。

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