トランプ関税が思わぬ好機に=低関税率を武器に新市場開拓

トランプ関税がブラジルの靴産業に大きな追いとなるか(3日付G1サイトの記事の一部)
トランプ関税がブラジルの靴産業に大きな追いとなるか(3日付G1サイトの記事の一部)

 ドナルド・トランプ米大統領の強硬な関税政策が、世界の商取引に波紋を広げている。だが、米国市場から一部競争国を排除するトランプ氏の戦略が、ブラジル企業にとって予想外のチャンスをもたらす可能性が浮上している。エコノミストらの見解を3日付G1(1)が報じた。
 政治経済学の専門家アンドレ・ペルフェイト氏は「トランプ氏は世界貿易の構図を再編成した。米国民が消費していた製品やサービスの需要が、今まで通りの値段で入らなくなり、その需要がより安価な他国製品に移る可能性がある。他国は今、新たに生まれた機会をどう活用するかを考える必要がある」と述べた。
 トランプ氏がすべての国に同時に関税を課したことで、世界全体で同調的な反応が起こる条件が整った可能性があるとエコノミストらは評価。各国は自国の戦略を見直し、協定を再検討する必要に迫られている。その結果、米国との関係を断つ国も出てくると見られ、これによりブラジルは新たに戦略的優位性を手にすることになる。
 トランプ関税に対抗し、各国が米国製品に門戸を閉ざせば、ブラジルの農業分野にとって新たな展望が開ける可能性が高く、具体的には中国への大豆輸出の増加が見込まれる。
 ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)のベルナルド・ギマランエス教授は、米国にとってもブラジル製品の輸入は他国と比べて関税が比較的低い。例えば、ブラジル製の航空機は関税が安い分、競合するカナダ製よりも競争力を持つことになると説明。
 ブラジル靴産業協会(Abicalçados)のアロルド・フェレイラ会長は、「現在、米国の平均輸入税は約17・3%であり、これに追加関税の10%を加えると27%になる。米国が示した中国の34%、ベトナムの46%、インドネシアの32%の追加関税を考慮すると、これは我々にとって米国市場での競争力を高めるチャンスだと捉えている」と述べた。東南アジアのこれらの国々は米国への靴の主要な輸出国だ。
 鋼鉄を加工してネジを製造する工場を営むフェルナンド・アントニオ・ゴメス・マルチンスさんは、この厳しい時期を乗り越えて利益を上げようと考えている。「米国から輸入している製品に関しては、関税の障壁を乗り越えるため、ブラジル内で製造のチャンスが巡ってくるだろう。これにより、ブラジルは国内生産を強化することができる」と述べた。
 4日付ヴェージャ紙(2)でも、トランプ関税の影に隠れたブラジルの好機を指摘している。元外務省商務担当局長のウェルベル・バラール氏は、「ブラジルに対するトランプ氏の態度は悪化する可能性もあった。だが実際には米国の緊密なパートナー国、例えばイスラエルのように17%の関税を課せられる国々よりも、ブラジルの状況は相対的にましだと言える。現在、欧州やアジアの製品と競合しているブラジル製品は、米国の輸入業者がどこから購入するかを決める際に大きな違いを生む」と説明した。
 バラール氏は「もしルーラ政権が適切な措置を取り、ブラジル企業が迅速に適応すれば、低コストで生産している他国の競合他社に対抗することは十分可能だ」と述べている。
 ブラジルが競争力を持つためには、欧州連合(EU)とメルコスル間で進行中のFTA批准が不可欠だという。農村協会の元会長グスタボ・ジニス・ジュンケイラ氏は「この新しい構図はユニークな状況を生み出す。世界が閉鎖しつつある中で、ブラジルは開かれる可能性がある」と見解。同氏は特に高度な付加価値を持つ製品、特に農産業製品が国外市場での地位を確立するチャンスがあると考えている。

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