裁判官が英国貴族末裔を詐称=45年間誰にも偽名気づかれず

ジョゼ被告が所持していた偽造された身分証明書(Foto: Divulgação)
ジョゼ被告が所持していた偽造された身分証明書(Foto: Divulgação)

 法曹界の信頼を揺るがす事態が発覚した――ある元エリート裁判官(67歳)が、45年間にわたって誰からも疑われることなく偽名で生活をしていたことが明らかになった。2018年に退職するまで、彼は数千件の訴訟を手掛け、サンパウロ州法曹界で名を馳せていた。英国貴族の血を引き、サンパウロ総合大学(USP)で学び、司法試験を突破した彼は、「名門の末裔」としてのアイデンティティを誇りにしていた。だが2024年、身分証明書の再発行を求めた際、指紋が別人のものと一致し、驚愕の事実が明るみになった。3日付エスタード紙など(1)(2)(3)が報じた。
 州検察庁(MPSP)の告発によれば、この元裁判官の本名はジョゼ・エドゥアルド・フランコ・ドス・レイスだが、架空の名前「エドワード・アルバート・ランスロット・ドッド=カンタベリー・ケータハム・ウィックフィールド」として広く知られていたという。
 ジョゼ被告は1973年、サンパウロ州アグアス・ダ・プラタで初めて身分証明書を取得。その後、1980年に偽造した書類を使って「エドワード・ウィックフィールド」という名前で新たな身分証明書を取得し、完全に別人として生活を始めた。
 1988年に名門USP法科大学に進学。1996年にはサンパウロ州の司法試験に合格し、その後は州司法裁判所(TJSP)の裁判官として数多くの訴訟を担当し、特に民事訴訟分野で著名な存在となった。
 TJSP透明性ポータルによれば、ジョゼ被告は7年前に裁判官から退いたものの、今年2月にはボーナスや報酬、その他の福利厚生費等、総額16万6413・94レアル(約420万円)が支給されていた。
 ジョゼ被告は自らの虚偽の身分を巧妙に隠し続けた。司法試験に合格した際、インタビューで自分が英国貴族の血を引くことや、25歳まで英国に住み、そこで数学と物理学を学んだことを誇示したが、実際にはそれらは全て虚構だった。さらに彼は身分証明書のみならず、軍の徴兵証明書、有権者登録証、社会保険証なども偽造していた。
 だが2024年、彼が身分証明書の再発行を求め、役所で手続きを行った際、指紋データが別の人物のものと一致したため、警察が捜査を開始。その結果、彼の真実の身分が明らかとなった。
 現在、このジョゼ被告は、MPSPからの告発を受け、刑事裁判を受けている。検察は彼が45年間にわたり虚偽の身分を使って、司法機関や公的機関を欺き、数多くの訴訟を扱っていたことを強く非難している。彼が犯した虚偽の身分証明書の作成や、それを使って得た利益は計り知れない。
 同件は現在、機密扱いで捜査が進行中であり、TJSPはコメントを避けている。ジョゼ被告がすでに退職しているため、行政的な措置は現時点では取られていないという。

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