ブラジル一高いキリスト像が落成=リオ・グランデ・ド・スル州大水害再建の象徴に

高さ43・5メートルの守護キリスト像(Foto: Maurício Tonetto/Secom)
高さ43・5メートルの守護キリスト像(Foto: Maurício Tonetto/Secom)

 リオ・グランデ・ド・スル州エンカンタード市の市街地を見下ろす丘の上に建設された全高43・5メートル(m)のブラジル最大のキリスト像が6日、足元の複合施設と共に落成し、同州とブラジルの主要観光スポットのルートに正式に組み込まれた。この像は、2024年4〜5月に襲った豪雨で甚大な被害を受けたヴァーレ・ド・タクアリ地区に位置し、大水害からの再建・復興への象徴となると同日付G1など(1)(2)(3)(4)が報じた。
 「守護キリスト像(Cristo Protetor)」と名付けられたこの像は、14階建てのビルに相当する全高43・5mで、広げた両手の幅は39mに達する。胸の部分がハート型にくりぬかれてガラス張りの礼拝堂になっているのが特徴だ。使徒を象徴する12の噴水、聖書の引用で示された詩篇の道など宗教的な見どころが整備され、展望台やフードコートも併設されている。
 エンカンタード市との高低差は378m、海抜は436mに位置する。鋼鉄と鉄筋コンクリートで作られた像の総重量は1712トンで、完成には中断期間抜きで約2年を要した。この工事には約650万レアルが投じられ、資金はすべて寄付金で賄われたという。
 この像は、リオ市コルコバードの丘に立つ「救世主キリスト(Cristo Redentor)」より5・5m高い。世界で最も高いポーランドのキリスト像は全高約50mだが、台座を除いた像本体の高さを比較すると、エンカンタードの像は37・6mで、ポーランドの像の36mを上回っている
 落成式でエドゥアルド・レイテ知事は、「昨年の大水害で神の力を感じた。それは悲劇ではなく、人々の反応に現れた。『守護キリスト像』のようなシンボルがその力を示している」と語り、この像が地域の再建と希望の象徴であることを強調し、訪れる人々に平和と希望をもたらすことを願うと述べた。
 この建設プロジェクトは、地域の企業家らによって資金提供され、19年6月に着工。コロナ禍で一時中断された後、像自体は22年4月に完成した。部分的に公開されて以来、約60カ国からすでに30万人以上の観光客が訪れている。
 周辺インフラ整備には、州政府の戦略的支援で400万レアルを投じ、道路の舗装工事や排水工事、標識設置を行なった。
 複合施設の維持管理は、非営利団体である「キリスト共の会」によって行われることになり、寄付金の余剰分は慈善活動に寄付される予定だという。経済面では地域のレストラン、ホテル、その他の事業の開業や拡大を促進し、さらにブラジルにおける宗教的観光地としての地位を強化することが期待されている。

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