なぜか登記上は〝義兄の妻〟=結婚13年目に判明した不条理

ファビアさんとアセルさんの結婚式の様子( Foto: Arquivo pessoal)
ファビアさんとアセルさんの結婚式の様子( Foto: Arquivo pessoal)
兄アベルさん(左)と弟アセルさん(右)は見た目もそっくりだ(9日付G1サイトの記事の一部)
兄アベルさん(左)と弟アセルさん(右)は見た目もそっくりだ(9日付G1サイトの記事の一部)

 「弟の方と結婚したはずが、システム上は兄と結婚したことになっていた」――そんな信じがたい登記間違いが、東北部バイア州で現実に起こった。
 2012年に正式に婚姻手続きを行い、10年以上夫婦として暮らしてきた妻が、ある日突然、法的には夫の兄と結婚していることになっていると知らされた。家族は甚大な混乱と不利益に見舞われたと、9日付G1(1)が報じた。
 妻ファビアさんは12年11月、バイア州ビリチンガ市でアセルさんと結婚し、結婚証明書も発行された。だが21年、アセルさんの兄アベルさんが出生証明書を請求した際、彼が登記システム上はファビアさんと結婚し、夫のはずの弟アベルさんは独身であり、結婚歴もないことが判明した。
 アセルさんによれば、この混乱は2人の名前が一文字しか違わないことが原因で、システムに入力する係員が勘違いした可能性が高いという。加えて姓と出生地が同一、生年月日も酷似している。アベル(Abel)さんは1985年8月16日生まれ、アセル(Acel)さんは1986年8月15日生まれだ。兄弟が同じ公証役場に登録され、名前の並びも近かったことが一因とみられる。
 夫妻は書面での結婚証明書を所持しているが、行政側のデータベース上では、ファビアさんは誤って兄アベルさんと婚姻関係にあると登録されている。システム上の記録が法的に優先されるため、弟アセルさんとの結婚は無効と見なされ、重婚状態を解消する手段として、あろうことか「正式な夫」であるアセルさんとの離婚が提示されたのだという。
 夫妻は現在、サルバドール大都市圏のカマサリ市に居住しており、問題が判明して以降、登記情報が管理されている172km離れたセリーニャ市へ、度々足を運ばざるを得ない状況にある。彼らは理不尽な対応を強いられ、問題解決の進展が遅れていることに対し、強い憤りを示している。
 一方、義妹と結婚したことになっているアベルさんは、システム上の不備により職場での昇進が滞っている。彼も問題解決のため、ジュアゼイロ市から約7時間かけてセリーニャ市まで行き、手続きを行わなければならない状況にある。
 家族はシステム上の混乱だけでなく、周囲からの冷やかしにも直面している。アセルさんは「妻は兄弟2人と結婚しているとからかわれる。笑って済ませているが、本人にとっては非常につらいこと」と話す。
 公設弁護人ジュリア・トラヴェッサ氏によると、こういった問題が発生した場合は結婚証明書の再発行を申請し、誤りの発生箇所を特定することができるという。手続きはバイア州の公設弁護局を通じて可能であり、誤登録された夫婦が離婚する必要はない。現地に出向かなくても最寄りの弁護局へ電話やアプリ、ウェブサイトで連絡すれば対応してもらえるはずという。
 TVバイア局は司法当局に説明を求めたが、記事掲載時点で回答は得られなかった。

最新記事