COP30宿泊施設不足で混乱も=英誌が開催地の受入態勢を批判

COP30関連投資の成果発表式典の様子(2月)(Foto: Ricardo Stuckert/PR)
COP30関連投資の成果発表式典の様子(2月)(Foto: Ricardo Stuckert/PR)

 10日付ヴァロール(1)によると、北部パラー州ベレンで11月10〜21日に開催される第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)まで、残り7カ月を切る中、英『エコノミスト』誌が同市には開催に必要なインフラが整っておらず、大規模な混乱が予想されると報じた。
 同誌は9日に掲載した記事の中で、「ベレンはアマゾン熱帯地域に位置する高温の都市で、道路インフラが劣悪で、住宅の約40%が下水道に接続されておらず、生活排水が市街地に流れている」と指摘。11月にCOP30の開催が予定されているが、深刻な宿泊施設不足も重なり、会議の混乱は避けられないとの見方を示した。
 同市には想定される5万人の来訪者を受け入れる体制が整っているのかとの疑問が呈され、市内の宿泊施設では約2万3千人分の収容しか見込めず、さらに5千人は近隣の港に停泊するクルーズ船での宿泊が予定されていると報じられた。公立学校や軍の駐屯地が空調と二段ベッドを備えた簡易宿泊施設に改修され、モーテルも代替案となる見込みだ。
 州当局は、民泊大手エアビーアンドビー社と提携し、宿泊施設拡充に取り組んでいるが、一部住民が劣悪な部屋を一泊6万レアル(146万円相当)で提供するなど過剰な価格設定も指摘された。
 3月6日付テラなど(2)(3)によると、宿泊予約サイト上では、会期中11日間の宿泊費が200万レアル(4880万円相当)に達する案件が存在する。サイト内には5千レアル(12万円相当)未満の施設が多少あるものの、大半が「新規掲載」であり、イベント直前に料金を吊り上げた可能性が指摘されている。通常時期との比較でも価格設定が20〜60倍に達するケースもあるという。
 さらに、イベント期間中の短期賃貸を優先するため、長期賃貸契約の打ち切りが相次ぎ、地元住民の居住環境にも悪影響が及んでいる。「過去10年間で最も宿泊費が高いCOP」との指摘もあり、特に発展途上国の代表団や市民団体からは強い懸念の声が上がっている。
 こうした状況を受け、州政府および連邦政府は、価格の不当な高騰を防止するための監視および啓発活動を開始している。州政府によれば消費者保護センター(Procon)が、市内ホテルおよび一時的宿泊施設を対象に、適正な料金設定を促すための教育的・予防的措置を講じている。連邦政府も過去の五輪と同様、宿泊料金の推移を注視し、不当な価格設定の抑制に向けた監視体制を強化している。
 Proconのジアナ・マイネイリ氏は「COP30が開催されることによって需要と供給のバランスが変化し、多少の価格上昇が生じることは理解されるが、無制限であってはならない」と述べ、「明らかに過剰で正当な理由のない価格引き上げ」は行政処分の対象となり、違反が確認された場合には罰金等の制裁措置が科され得ると説明している。
 政府は宿泊施設を一元的に管理する公式プラットフォームの導入を進め、当初は3月末までの運用開始を予定していたが、4月11日現在もまだ稼働しておらず、現時点では宿泊環境の混乱に対する明確な解決策は依然として示されていない。

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