ヤミ金への借金返済のため=両親が実子誘拐でっちあげ

マイアラ容疑者(左)とファブリシオ容疑者(右)(Foto: Redes Sociais)
マイアラ容疑者(左)とファブリシオ容疑者(右)(Foto: Redes Sociais)

 サンパウロ州ジャルジノーポリス市で発生した6歳男児の失踪事件は、両親による偽装誘拐であったことが明らかとなった。警察による捜索活動中、男児は両親の車のトランク内で発見され、監禁および虐待の疑いで両親は11日に逮捕された。両親はヤミ金への借金返済のため、誘拐を装い金銭を得ようとした疑いが持たれている。過去には子どもが癌を患っていると偽って治療費を募っていた可能性も指摘されていると、13日付G1(1)が報じている。
 この事件を担当したラファエル・ペリザロ・ダ・シルヴェイラ刑事は「実際には、あれはすべて大げさなショー、大芝居でした」と総括した。事件は人口約4万5千人の小さな町で発生。母親マイアラ・マリア・ドス・サントス容疑者は、10日午前11時ごろ、息子が学校から帰宅した後、自分がパン屋へ出かけて帰ってきたら、息子の姿が見えなくなっていたと警察に失踪届を提出した。
 マイアラ容疑者は警察に対し、息子と特徴が似た少年が小型の汽車型おもちゃの後を追っているのを見たという目撃者がいたと説明。さらに別の目撃者は、刺青をした黒人男性に連れられている子どもを目撃したと証言したという。
 彼女の姉が「この子にはいくらの価値があるのか」と記された身代金要求を示唆するメッセージを携帯電話で受信したとも述べた。こうした不自然な証言や状況により、警察は早くから事件の背景に不審な点があると見ていた。
 失踪の知らせは瞬く間に広まり、地域住民を巻き込んだ大規模な捜索活動へと発展。SNS上では、男児の写真と家族の連絡先が拡散され、多くの人々が情報提供を呼びかけた。家族の住居が市営森林公園に隣接していたこともあり、住民らは翌朝から周辺一帯の捜索を開始し、警察と協力した。
 だが警察によれば、両親が自宅への立ち入りを頑なに拒否したことで、最初の疑念が生じた。
 11日の朝、両親も市営森林公園での捜索に同行していたが、マイアラ容疑者は乳児を連れており、「おむつを替える必要がある」として頻繁に車に戻っていた。警察がスペースを確保するため、車のトランクを開けることを提案したが、彼女はこれを強く拒否。そうした挙動の不審さから警察が疑念を深め、トランクを開けたところ、誘拐されたはずの男児が発見された。
 マイアラ容疑者と夫ファブリシオ・エンリケ・ボネッチ容疑者は、その場で現行犯逮捕された。ファブリシオ容疑者は、非公式な事情聴取の中で、借金返済のために失踪を偽装し、誘拐を装って金銭を得ようとしていたと供述したという。
 今回の事件以前にも子供をネタにしてお金を得ようとしていた可能性がある。子どもが癌を患っていると偽り、両親が支援金を募っていたとの情報が寄せられており、警察はこうした過去の経緯についても調査を進めている。
 両容疑者には、乳児を含む3人の子どもがいる。現在は児童相談所が介入しており、子どもたちの親権の扱いについては裁判所が判断を下す見通しだという。警察によると、夫婦は監禁、虐待、ならびに子どもを不適切な状況に置いたとして、児童・青少年法(ECA)に基づき起訴される予定だ。

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