残業できない
さらに面白いことが法律で定められている、一日の労働時間が10時間を超えてはならないとうことである。すなわち8時間の労働時間であれば、残業は2時間以上してはいけないことになる。ほとんどの企業が法律違反覚悟で2時間以上の残業を行っているが、これは労働監督局の監査がいつ入るかわからないというリスク覚悟で実施していることである。
週44時間労働の規定に従って月曜から金曜日までは1日8・8時間の労働時間となり、残業許容時間は1・2時間となってしまうが、ほとんどの会社は法規制を無視した2時間残業をおこなっている。また時には必要に応じて4時間残業を行っている会社も数多くある。
また、残業代の割増金額も労使協定で驚くほど高く設定されている。月曜日から土曜日は60%増額、日曜日、祭日や振替休日出勤は8時間を限度として110%増額で8時間を越える場合は150%の増額となる。
また、土曜日を月曜から金曜日で振り替えている場合の、土曜日出勤は8時間まで60%増額、8時間を越え16時間まで80%増額、16時間を越える時間は110%の増額となる。このように他国には見られない高額な残業増額となっている。
これらの全ては、ブラジル奴隷制度の規制、または奴隷廃止を目的とした、がんじがらめの法律制定から発生した為と思われ、CLT(労働法大集)といわれる、つぎはぎ、追加だらけで百科事典の本の厚さ程のある法律によって規制されており、全体の見直しが迫られている。
労働組合員の特権
ブラジルの労働組合は会社毎にあるのではなく、従業員が強制的に参加させられる企業形体ごとの労働組合形体である。
4年に一回の労働者シンジケートの役員改選も企業にとっては頭の痛いことである。なにが何時からどうなったのか正確にわからないが、とにかく役員の数が65名ととてつもなく多い。そのためほとんどの企業から、2名、3名と立候補し当選する。この当選した役員にも4年間の任期とさらに1年と計5年の雇用保障が発生する。
また、これらの役員が労働組合の活動に参加する時に、労働組合から会社にたいして、委員の退社要請があれば、欠勤扱いせずに退社を許可しなければならない協定が出来ている。
このように労働者を保護できる方法がいろいろあり、これがブラジルの労働市場の“マイゾウ・メーノス”の世界です。将来どうなっていくのでしょうか。