未成年狙うサイバー犯罪深刻化=数年で少なくとも50人死亡

「アドレセンシア・セグーラ作戦」で押収された手袋とマスク(Foto: Reprodução/Polícia Civil do Rio de Janeiro)
「アドレセンシア・セグーラ作戦」で押収された手袋とマスク(Foto: Reprodução/Polícia Civil do Rio de Janeiro)

 近年、SNSで流行しているチャレンジ動画に誘発され、命を落とした子供が少なくとも50人にも上り、深刻な社会問題となっている。リオ州警察は15日、未成年者をターゲットにしたサイバー犯罪組織を取り締まるため、7州で大規模な捜査「アドレセンシア・セグーラ(安全な青少年)作戦」を実施。成人男性2人が逮捕され、未成年者7人が拘束された。
 捜査のきっかけは17歳の少年がホームレスに火炎瓶を投げた事件で、この攻撃はオンラインで生中継され物議を醸した。この攻撃が単独の事件ではなく、サイバー犯罪組織の一部であることが判明した。この組織はさまざまなデジタルプラットフォームで青少年を誘引し、犯罪に加担させていたと15日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)が報じた。
 今年に入り、未成年者が口の中にデオドラントスプレーをどれだけ長い時間吹きかけられるかという「チャレンジゲーム」に参加し、意識を失って病院に搬送された後、死亡するという事件が複数件発生。2月にも、蝶の死骸を体内に注入した少年が死亡するなど、衝撃的な事案が相次いでいた。
 今捜査では、リオ州警察の児童・青少年被害者課(DCAV)が中心となり、サンパウロ州、サンタカタリーナ州、パラナ州、マット・グロッソ・ド・スル州、ミナス・ジェライス州、ゴイアス州、リオ・グランデ・ド・スル州の計7州で捜索・押収令状や一時収容の執行が行われた。
 捜査を指揮したクリスチアーノ・マイア警部によれば、今回摘発された組織は、未成年者を標的とした極めて危険なサイバー犯罪集団であり、殺人未遂、自殺の教唆および扇動、児童ポルノの保存・配信、動物虐待、ナチズムの賛美、ヘイトクライムが含まれていたという。
 警部は「組織の中核となるメンバーは『オラドール(演説者)』と呼ばれ、ネット上で挑戦(チャレンジ)を扇動していた。彼らは単にゲームを提案するにとどまらず、被害者と親密な関係になってまず内密な写真を入手、次に脅迫に移り、動物虐待や自傷行為を強要していた」と説明。児童ポルノの収集や拡散を促す行為も確認されたという。
 特に社会を震撼させたのは、2月18日に発生したホームレス襲撃事件だ。これは17歳の少年が、就寝中の路上生活者に向かって2本の火炎瓶を投げつけたもので、被害者は身体の70%に重度のやけどを負い、現在も入院中だ。この残虐な行為は、陸軍所属の兵士が撮影し、SNS上で生配信された。マイア警部は「当時この映像は120人以上に配信されていた。その中の一人が『まだ火をつけるな、自分のインターネット接続が不安定だから』と発言した場面も記録されており、極めて冷酷かつ非人道的な態度が見て取れる」と述べた。
 この犯罪グループはリオで開催されるゲイ・パレードへの攻撃も計画していたとされる。警察は「このサーバーの管理者らは、未成年者を主な標的とする複数のサイバー犯罪に高度に特化した犯罪組織を構成していた」と指摘している。
 事件は国外にも波紋を広げ、米国の二つの独立系機関が報告書を提出し、ブラジルの警察の捜査に協力するなど、国際的な注目も集めている。
 リオ州警察は「アドレセンシア・セグーラ作戦は、ブラジルにおけるデジタル犯罪への取り組みにおいて重要な節目であり、児童および青少年の基本的人権の保護という警察の使命を改めて示すものである」との声明を発表した。

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