COP30準備に懸念広がる=工事進捗や資金の不透明性

COP30の会場の一つとなる建設中の「パルケ・ダ・シダーデ」(Foto:Cássio Matos/Agência Pará)
COP30の会場の一つとなる建設中の「パルケ・ダ・シダーデ」(Foto:Cássio Matos/Agência Pará)

 11月10〜21日に開催予定の第30回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)まで残り200日を切り、開催地パラー州ベレン市では準備が急ピッチで進められている。だが昨年6月時点で13件だった工事件数は、4月には38件へとほぼ3倍に増加し、投資総額も当初の40億レ(約1013億円)から70億レ(約1773億円)以上に膨れ上がった。うち14件の工事については進捗率や完成予定日が未公表のままで、透明性に対する懸念が指摘されていると24日付G1など(1)(2)が報じた。
 進行中の38件の工事は宿泊施設、インフラ、モビリティ、衛生の四つのカテゴリーに分かれる。特にインフラ関連が最も多く、14件の工事に総額27億レが投じられている。公共施設の改修なども含まれ、主会場の一つであるパルケ・ダ・シダーデ(都市公園)は、ヴァーレ社がスポンサーとなり、総額9億8千万レが投じられている。4月時点での進捗率は80%だ。
 会議期間中の都市イメージ発信や観光地として重要なヴェル・オ・ペーゾ市場の改修は、進捗率82%と公表されている。だが主要会議の開催場所ハンガー・コンベンションセンターの改修や、ベレン空港と会議場を結ぶジュリオ・セーザル街の再整備などの重要工事については、24年11月以降進捗率が更新されていない。
 情報が公開されている工事の中でも進捗率が30%以下と低いものには、マルチル運河とムルトゥク運河の排水インフラ基盤整備(29%)、メルセダリオ複合施設の修復(10%)、およびヴェル・オ・ペーゾ地域の下水道整備(11%)がある。この状況から開催準備への不安が高まっており、市民や関係者の間では情報の透明性を求める声が強まっている。
 主要な資金提供元には連邦や州政府、市、水力発電のイタイプ・ビナショナル、社会経済開発銀行(BNDES)、連邦貯蓄銀行(CAIXA)、民間企業、国際的な基金がある。うち連邦政府からの投資が最大で約47億レに達する。
 当初、COP30に向けたBNDESからの投資額は23年6月時点で50億レとされていたが、10月には32億レ、さらに12月には最終的に30億レに削減された。この削減についての理由は明示されておらず、プロジェクトの規模や進行にどのような影響を与えるのかは不透明だ。現在30億レの融資契約のうち、2025年2月までに11億レが承認されているが、BNDESによれば、すべての工事は「返済可能」とされ、市場金利で融資が行われている。補助金は一切含まれておらず、支払い期限の延長がその代償となっている。この点も、市民や関係者にとっては資金調達の透明性が欠けていると映る可能性がある。
 これらの工事が地域経済に与える影響については、雇用創出が重要な成果として挙げられているが、一時的なものであり、COP30終了後に持続可能な効果があるのかどうかについては言及されていない。建設業における雇用は通常、プロジェクト期間に限定される。その後の地域経済への影響については長期的な視点での分析が欠如している。
 民間資金の投入にも疑問が残る。民間企業からの投資が含まれていることにより、その条件や透明性について市民が十分に理解しているかどうかは疑問が残る。公共事業における民間投資は、利益相反を引き起こす可能性があり、その点についても慎重に対応する必要があると報じられている。

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