大阪万博でフェスタ・ジュニーナ=日系団体がブラジル文化紹介

万博会場でまずラジオ体操をして体をほぐしたプロジェクト・コンストルイル・アルテルのみなさん

 ブラジル貿易投資振興庁(Apexブラジル)広報によれば、大阪・関西万博では21日、EXPOアリーナ「MATSURI」でブラジルの伝統的な祝祭フェスタ・ジュニーナで踊られる「クアドリーニャ」が披露された。大阪を拠点とする日系団体「プロジェクト・コンストルイル・アルテル(Construir Artel)」の保護者と生徒たちが、人々をつなぐことを目的としたイベント「Tsunagu(つなぐ)」に招待され、披露した。
 ブラジル館代表のマリア・ルイザ・クラヴォ・ウィッテンベルク氏によると、同館も持続可能な形で世界をより良くするための活動を展開している。
 プロジェクト・コンストルイル・アルテルのコーディネーターを務める田中ルジア氏は、開会式で次のように語った。「万博に参加できてとても嬉しいです。今年はブラジルと日本の友好関係130周年、そして日系ブラジル人が日本で働きにくるようになって35周年を迎える記念すべき年」
 参加者のひとりであるマイア・ハナヤマさん(21歳)は、小学2年生から中学3年生までアルテルに通い、現在はボランティアとして活動している。「コンストルイル・アルテルは私にとってとても大切な場所でした。いじめにあっていたとき、アルテルで友だちに会う日を心待ちにしていました。学校のことやいろいろな相談もできて、支えてもらいました」と語り、大学卒業後はブラジルを含め、様々な国を訪れたいと話した。マイアさんの母親のマリアさんは「万博でダンスを通じてブラジル文化を紹介でき、感動しました」と語った。
 プロジェクト・コンストルイル・アルテルは今回、ブラジル出身の30人以上とベトナムの家族数組で参加した。メンバーたちはブラジル館で配布された「パランゴロモス(parangoromos)」という衣装を着て、ラジオ体操に参加した。
 「パランゴロモス」はブラジルの詩人アロウド・ジ・カンポスの詩「パランゴロモス」に由来する。アーティストのエリオ・オイチシカはカンポスの詩にインスピレーションを受け日本文化に接近した。衣服「パランゴロモ」はオイチシカが生み出した「パランゴレ」という衣装と、軽やかさや精神性を象徴する日本の伝統的な「羽衣」を融合させたもの。
 ブラジル館の監修を担当した舞台美術家のビア・レッサ氏の目的は、展示空間を超えて同館のメッセージを広げ、人々に世界を変えるための行動を促すことだ。同館クリエイティブ統括のダニロ・ワタナベ氏によると「ビア・レッサが目指したのは、ブラジル館に入った時と出る時とで来館者に何か変化がおとずれることでした。ブラジル館は大きなマニフェストであり、透明で開かれた入口は、我々が世界に対してオープンであることを象徴しています。私たちは団結する必要があり、一人では何もできず、人間が宇宙の中心ではなく、自然という大きなエコシステムの一部であるという認識が必要です。すべては共にあるときにのみ、うまくいくというメッセージなのです」と締めくくった。

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