
毎日無数にかかってきて、出ても数秒で切れる無言電話に頭を悩ませている人は多い。あの謎の電話は何なのか。その答えを、27日放送のグローボ局の報道番組「ファンタスチコ」が報じた。その中で、この背後に潜む企業とその不正行為を調査し、実際に利用されている手法とその深刻な影響を明らかにした。(1)(2)
ブラジルでは毎月100億件以上の「ロボコール(自動音声通話)」がコンピューターから発信され、その大半は人々に煩わしさを引き起こすだけでなく、詐欺犯罪の温床にもなっている。
これはコンピューターによって自動的にかけられ、商品売り込みなどのあらかじめ録音されたメッセージが流れるものや、無言のままわずか数秒で切れるものもある。その目的は通話可能な番号かどうかを確認し、その情報を利用するためだという。
国家電気通信庁(Anatel)によると「ショートコール」として分類されるこの通話は、国内で毎月約200億件発信されており、その半数にあたる100億件が自動ダイヤルシステムによってコンピューターから発信されるロボコールだ。
ロボコールは本来「生存確認」として機能する。通話に応答があれば、電話回線の所有者が現在も利用していることを意味し、将来的な「カモ」として識別される。こうして得られた情報をもとに、闇業者が「リスト」を作成し、本人の知らぬ間に個人情報が出回ることになる。
ロボコールに対応した場合、受信者には存在しない仮想番号が表示されるため、被害者がその番号にかけ直しても「番号が無効」との録音が流れる。
Anatelによると、ロボコールは国内で増加の一途を辿っており、今年の1月と2月には、昨年同期比で12%増加し、約240億回が発信された。これは1秒あたり2万3千件に相当し、多くの国民に苛立ちを与えている。
リオ・グランデ・ド・スル州の実業家ロザウラ・ブリトさんは毎日30〜40回の電話を受ける。Anatelが提供する迷惑電話拒否サイトに登録したが、効果はなかった。そのため、彼女は見知らぬ番号からの着信に応答しないことに決めたが、この決定が別の問題を引き起こす可能性がある。
ロボコールの中には重要な情報を提供するものもあるからだ。医療機関では患者が電話に出なかったために、臓器移植を受け取る機会を逃したケースがある。就職活動をしている人も注意が必要で、企業側が電話をかけて応答がなければ次の候補者に進むため、電話を逃すことは就職の機会を失うことにも繋がる。
ロボコールは、従来の電話網を介さず、インターネット経由で特定のプログラムを使用して行われ、組織犯罪にも利用されやすい。犯罪組織は詐欺を目的とした音声メッセージを発信している。サイバー犯罪の専門弁護士ジョゼ・ミラグレ氏は「これらの電話は非常にリアルで、詐欺だと見抜くことは難しい」と述べた。
同番組の取材班はミナス・ジェライス州に拠点を置く企業が、違法な自動発信プログラムを開発し、大量の電話を機械的にかけるシステムを運用している実態を突き止めた。このプログラムは、あらかじめ登録された電話番号リストに対して短時間で一斉に発信するもので、営業や詐欺目的に悪用されている可能性がある。
消費者保護センター(プロコン)は「不正行為の疑いが極めて高い」として調査に着手。関係機関とも連携し、当該企業を警察に通報し、法的措置を講じる方針を示した。
Anatelは新たな対策として「発信元認証(origem verificada)」の導入も進められている。この制度では、着信時に発信企業の名称やロゴ、通話目的が画面に表示される仕組みで、これにより、利用者は安心して電話を取るかどうか判断でき、詐欺である可能性を排除できるという。
一方、ブラジルテレサービス協会は、「加盟企業は顧客から提供された正当な情報のみを使用しており、データリストの購入などは行っていない。無音通話や過剰な発信の抑制にも努めている」との声明を出した。